研究課題
特別研究員奨励費
電気双極子を有する物質に電界を印加・除去すると、分極エントロピー変化に由来する発熱・吸熱が起こる。これは電気熱量効果と呼ばれ、高効率なヒートポンプとしての応用が期待されている。本研究では低電圧動作に向けて強誘電体薄膜における電気熱量効果に着目してきた。熱容量の小さな薄膜においても、高周波電界により誘起される電気熱量効果を利用することでデバイスの実現可能性を示した。・有機強誘電体薄膜における電気熱量効果の高熱密度化薄膜熱電対による実測により、有機強誘電体薄膜における電気熱量効果について調べた。交流電界下において、高周波になるにつれ増加する温度変化が得られた。有限要素法を用い交流電界下の電気熱量効果を模した熱拡散モデルを計算した結果、熱の拡散長は周波数の増加に伴い減少する一方、膜を出入りする熱の面積密度は増大することがわかった。これは体積熱容量の小さな薄膜でも高周波電界を利用することで高い熱密度が得られることを示し、実験結果も説明される。10kHzにおいて、0.69 W/cm2の熱密度が得られることを明らかにした。また同様の測定・解析をリラクサ系有機強誘電体P(VDF-TrFE-CFE)薄膜において行い、1.54 W/cm2の熱密度を得た。・高周波下電気熱量効果を用いたヒートポンプの提案機械的な可動部を含む構造は適さないため、全固体構造において電界の印加方法を工夫する駆動方法を提案した。誘電体と電極を積層した構造を採用し、各層に印加する交流電界に位相差を与えることで、電界強度のピーク位置は一方向に伝播する。その位相速度と熱の拡散速度の相関を見ることで、最適な条件の検討を行った。10層のPVDFを積層した構造を想定し、数値計算によりデバイスの両端に誘起される温度差を計算した結果、位相に対し最適値が存在し、最大で0.91 mW/cm2のヒートポンプ動作が得られることを明らかにした。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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