研究課題/領域番号 |
17J10678
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
動物生理・行動
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研究機関 | 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
浅場 明莉 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 微細構造研究部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
採択後辞退 (2019年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2018年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2017年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | コモンマーモセット / 一夫一妻 / 親和行動 / モーションキャプチャ |
研究実績の概要 |
ヒトに代表される一部の哺乳類は、特定の繁殖パートナーとペアを形成するだけでなく、長期にわたりその関係を維持する。持続的な雌雄の絆については、一夫一妻制齧歯類のプレーリーハタネズミを用いた研究によりオキシトシンなどの関与が認められてきた。しかし、ヒトのように前頭葉が発達し、表情や音声など視聴覚情報の交換が盛んな動物における、雌雄の絆形成・維持に関わるメカニズムを明らかにするためには、ヒトと類似した高次脳機能をもつ霊長類をモデルとした研究が必要不可欠である。そこで本研究は、一夫一妻制の雌雄関係を持つ霊長類コモンマーモセットを用い、パートナーとの同居時間を統制したモデルを作出し、雌雄の絆形成・維持に必要な親和行動、神経内分泌、神経活動を明らかにすることを目的とした。 本年度は、パートナーに対する積極性を定量的に評価するための行動テストの開発を行った。具体的には、マーモセットをホームケージごと移動し、別室で異性と出会わせ、ビデオカメラとマイクで動画と音声を記録した。黒いパーテーション、透明なパーテーションと段階的に雌雄の相性を確認しながら実験を行った結果、注視行動、接近行動にオス特異性やメス特異性があることが明らかとなった。 また、マーモセットが紐など引けば引くほど、パートナーが待機している分室との間の扉が開いていく装置を開発し、パートナーの存在が積極的な快刺激として作用しているかを検討した。ホームケージにおいてトレーニングを行った結果、マーモセットはロープ引き課題が可能であることが明らかとなった。実験装置内においても、ロープ引き課題を行った結果、マーモセットが自発的にロープを引き分室への扉を開けることができることがわかった。そこで、分室に存在する個体が、異性やきょうだいである場合で比較し、レバー引き回数などの反応率や潜時が変化するかを調べた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は、他個体を出会わせた際の社会行動についても詳細に解析を行うため、複数の深度カメラを連動させたマーカレスモーションキャプチャ系の新規開発に取り組んだ。これにより、マーモセットの行動を3次元的にとらえることができ、複雑な運動を解析することが可能となった。雌雄間の社会行動にかかわるデータを収集した結果、パーテーションなどを含む複雑な実験装置において、マーモセットの行動を2頭同時に3次元的に追跡及び解析できることが明らかとなった。 しかし、平成29年12月から産休および育児休業を取得したため、計画通りの実施が困難となった。そのため、予定していた調査や解析が一部未実施となっている。
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今後の研究の推進方策 |
再開後は、研究期間の延長に伴って変更した計画に沿って、研究を進めて行く予定である。パートナーに対する積極的な行動を評価するテストの開発を進めた後は、パートナーとの同居時間を統制したモデルを作出し、絆を特徴付ける社会行動とホルモン反応の調査を行う。その後、パートナーの存在が脳活動と神経伝達物質の脳内濃度に及ぼす影響のPET検査、および検出した脳部位をターゲットとしたDREADDによる神経活動を制御し実証実験を予定している。
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