研究課題/領域番号 |
17J10993
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
芸術一般
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三輪 健太朗 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
採択後辞退 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2017年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | マンガ / 近代 / 視覚文化 / イメージ / 言語 |
研究実績の概要 |
本年度は、「出産・育児に係る採用の中断」により、特別研究員としての研究に専念できたのは二ヶ月間のみであった。そのため、この期間中の学会発表や論文の公刊はできなかったが、昨年度から継続して執筆してきた博士論文が完成に近づいた。この博士論文は、特別研究員PDとしての研究課題と直接に重なり、その成果の主要な一部をなすものである。論文中で試みたことは、次の三点にまとめられる。 第一に、マンガの祖とされる19世紀前半の作家ロドルフ・テプフェールから、世紀転換期のアメリカの新聞マンガ、ひいては戦後日本のマンガ産業へといたるマンガの近代史を概観することで、体験の断片化や時間性の変質といった、広くモダニティを特徴づける諸論点をあぶり出し、マンガの近代性を剔出すること。 第二に、マンガの文化史的意義を論じることを通して、モダニティの両義性をめぐる議論にマンガ研究を接続すること。従来、西洋史の一段階としてのモダニティ(進歩と理性への信仰によって特徴づけられるブルジョワ的概念)と、美的概念としてのモダニティ(反ブルジョワ的でアヴァンギャルドへと至るもの)との対立が論じられてきたが、キッチュな大衆芸術として産業的発展を遂げたマンガは、前者の産物であると同時に、そのユーモアとアイロニーへの傾斜によって後者と接続する側面をも合わせ持っている。 第三に、同じく近代視覚文化である写真や映画などの映像文化や、あるいは高級芸術の領域におけるモダニズムとは区別される、マンガに固有の美学的意義についての理論的考察を提出すること。イメージとテクストの関係、リアリティとの接点、コマと時間性をめぐる問題などを俎上に載せつつ、マンガというジャンルが果たしてきた批評的実践の意義を論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」にも記したように、本年度は「出産・育児に係る採用の中断」のため、特別研究員としての研究活動は二ヶ月間のみであった。そのため、特別研究員採用時の見通しからすれば遅延していることは否めない。ただし、実質的には採用開始から一年二ヵ月の段階という意味では特段の遅れはなく、採用再開後も継続して研究の遂行に努めるべく、可能な範囲での準備を続けている。また、昨年度から継続してきた博士論文の執筆に目途がついたことも特記しておきたい(手続き上の提出は中断期間中に行う予定)。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までの研究成果を踏まえ、博士論文の公刊のための準備を行う。また研究課題のうち、「イメージと言語の関係」をめぐる問題は、博士論文の内容をさらに拡大するものとして構想しているため、最終年度に向けて引き続きその検証と考察を行う。
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