研究課題
特別研究員奨励費
自他の情動を知覚,理解し,社会的に受け入れられる形で表出することは,心理社会的適応において非常に重要視される能力である。特に青年期における情動の自己制御能力は,第二次性徴,認知の自己制御能力,社会的関係の変化などの影響を受けて発達し,これらの要因との相互作用を通して不適応の発現へ影響するものと考えられる。しかし,この時期を対象とした実証的研究は少なく,情動の自己制御能力が青年期を通じて,どのように発達していくか,どのように適応へ影響するかについては明らかになっていない。そこで本研究では,後期児童期から青年期にかけての情動の自己制御能力の発達のあり方,情動制御能力が心理社会的不適応の発現へ及ぼす影響について縦断的に検討することを目的とした。とりわけ令和元年度においては,当初の予定通り3時点目のデータを収集,青年期の感情の社会化尺度日本語版の作成のための調査を行い,親・友人からの感情の社会化が認知的感情制御へ及ぼす相互的影響について,縦断データを用いて分析を行った。分析では,時点に共通した (個人間) 特性としての感情制御と親・友人との話し合い経験の関連,(個人内) 時点間の両変数の関連についての分析を行った。結果から,小学生では有意な時点間の関連は見られなかった一方で,中学生では,中2時の親・友人との話し合い経験は中3時の感情制御へ異なる影響を及ぼしており,高校生では,高1時の感情制御が高2時の親・友人との話し合いへ正の影響を及ぼしていた。このことから,学年によって,親・友人からの感情の社会化は感情制御へ異なる効果を持つことが示唆された。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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