研究課題/領域番号 |
17J40054
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
臨床心理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松田 なつみ 東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(RPD)
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研究期間 (年度) |
2017-04-26 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
採択後辞退 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2018年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2017年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | チック / トゥレット症候群 / 行動療法 / 介入研究 / 前駆衝動 / 感覚現象 / バイオフィードバック / 行動実験 / 自己対処 / 質問紙調査 |
研究実績の概要 |
2019年夏からHRVを用いたCBITの介入研究を開始し、現在までに4名が評価を完了した。これまでに14名をリクルートし、10名が参加し、2名が脱落した。脱落例のうち、1名は家庭の事情による初期の中断であり、もう1名は介入終了後の評価ができなかった。CBITによってチック症状が悪化した例はみられなかった。事前事後の評価ができた7名について、Yale Global Tic Symptom Scale(YGTSS)によるチック症状の変化は以下のとおりである。事前評価:チック症状合計の平均36.4点(標準偏差:8.2,範囲:24-45),社会機能の障害の平均37.1点(標準偏差:7.6,範囲:30-50),全重症度平均73.6点(標準偏差:14.8,範囲:54-95)。介入後評価:チック症状合計平均27.3点(標準偏差:10.0,範囲:8-39),社会機能の障害の平均26.4点(標準偏差:9.4,範囲:10-40),全重症度平均53.7点(標準偏差:18.7,範囲:18-79)。チック症状合計の差の平均は9.1点(標準偏差:4.1,範囲:5-16)であった。大規模なトゥレット症候群に対する CBITのRCTにおけるYGTSSチック症状合計の点数変化は,子どものグループで24.7点から17.1点(Piacentini(2010))であり、大人のグループで24.0点から17.8点(Wilhelm(2012))であった。今回の対象者は,介入前のチック症状合計が35点を超える重症例が5名おり,先行研究と比べて重症な対象者が多かった。CBITは軽度~中程度のチック症状に効果があるとされてきたが、HRVを併用することや、暴露反応妨害法を併用することによって、重症なチック症状を持つ当事者に対しても認知行動療法の効果が期待されることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年5月1日~2019年12月31日までは研究再開準備支援期間をとり,2020年1月から研究を再開した。研究再開準備支援期間の間も、チックの自己対処に関する質問紙研究を実施するための倫理申請及び質問紙研究と臨床評価面接を行った。また、2019年夏からHRVを用いたCBITの介入研究を開始し、現在までに4名が評価を完了した。2018年から合わせて14名をリクルートし、10名が参加し、2名が脱落した。うち7名が評価完了している。現在はskypeを中心とした遠隔診療を行っており,1例が継続中で,4名に対してフォローアップ面接を実施している。
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今後の研究の推進方策 |
今後,研究協力者の感染症リスクに対する安全面や参加のしやすさを考慮し,全てを遠隔で行うことが出来るようなCBITの研究を進めていきたいと考えている。そのために,対面による面接と比べた時の情報量の差や,オンラインで面接を行う際のプライバシー保護や安全面等,多くの課題を解決していく必要がある。また,オンラインで行うことのデメリットだけでなく,オンラインならではのメリットを模索していきたい。日常の課題の記録をスマートフォン等を用いて簡易に行うことや,週に一度の面接以外で短時間の双方向のオンライン上のやり取りを取り入れる等,研究協力者及び介入者の大きな負担にならない範囲で,モチベーションを保って,ハビットリバーサルを続けられるためのシステム作りを考えていきたい。また,当事者にとっての効果が高いプログラムを実施していくだけでなく,なぜCBITがチック症状に効果があるのか,前駆衝動やチック症状の究明につながるような研究のパラダイムを整えていく必要がある。さらに,効果的なオンラインでのCBIT及び研究のための評価の枠組みが定まった段階で,ランダム化比較試験を行い,日本におけるCBITの実証研究を行っていきたいと考えている。
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