研究課題
特別研究員奨励費
2019年はオアフ島とマウイ島で野外調査を行った。オアフ島では、Wikstroemia oahuensis var. oahuensisの1集団から20個体の植物を採集した。マウイ島では、PEPリスト(個体数が50個体以下の植物)に指定されているマウイ島固有種のW. villosa(植栽個体)を5個体採集した。採集した植物は証拠標本として扱い、この試料から遺伝解析用試料と花序の形態観察用試料を得た。採集したアオガンピ属植物の花序を実体顕微鏡を用いて花序の内部構造を観察し、植物の雌雄性を確認した。オアフ島とマウイ島のWikstroemia属植物は、形態的には両全性だが、機能的には雌雄異株性であるcryptic dioecyを示す個体が知られている。この性表現を確認するために、パラフィン切片による観察を始めている。今年度のオアフ島とマウイ島の野外調査で得られた遺伝解析用試料から、DNA抽出キットを用いて全ゲノムを抽出した。本野外調査で、アジアから太平洋の島嶼域に分布する木本性のアオガンピ属植物を概ね採集することができたので、今年度にDNA抽出したサンプルとこれまでに採集しDNA抽出をした本属植物サンプルを合わせてMiSeqを用いてMIG-seq法による塩基多型解析を行った。サンプルの一部はサンガー法によるシーケンシングも行い、葉緑体rbcL、trnT-F、rpl16、rps16、核ITSの塩基配列を解読した。その結果、アジア地域のものと太平洋の島嶼域(ハワイ諸島、小笠原諸島、グアム、パラオなど)のものは遺伝的に大きく異なることが示された。ハワイ諸島に生育するアオガンピ属植物の系統関係は、葉緑体と核合計5領域の塩基配列にもとづく系統解析では明瞭に示されなかったので、MIG-seq法により得られた配列にもとづく系統解析の結果が待たれる。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Phytotaxa
巻: 317 ページ: 280-285