研究課題
基盤研究(C)
本研究課題の目的は、気象に関する時空間のビッグデータから機械学習の手法を用いて時空間変動パターンを抽出し、これを基にした知識発見支援システムを構築することである。本年度は、フェーズドアレイデータからの降水コア検出に対して検討していた、Greedy EMによるモデリング手法において、グリッドデータの点群近似によって不自然な分裂が起こっていた問題に対する改良方法として、グリッドデータからの点群の再リサンプリングを利用する手法を考案し、これによって、不安定な挙動が改善されたことを確認した。この内容については、6月に開催予定の人工知能学会でポスター発表の予定である。また土佐湾沿岸の竜巻については、従来検討してきた監視カメラ画像にくわえて、対象をレーダ画像に広げ、竜巻親雲の早期発見を目指して、反射強度画像に現れるフック型の信号を深層学習のSSDを用いて検出することを検討した。その結果、竜巻親雲に注目した画像ではフックエコーを正確に検出でき、表示画像が広範囲になり、相対的に対流雲が小規模になる場合でも信頼度の閾値を調整することでフックエコーの検出ができることがわかった。この内容はJPGU2022で発表された。研究期間の全体を通しては、気象に関する時空間データをターゲットとして、 (1)強度データからのオブジェクト抽出技術手法の頑健化、(2)竜巻前兆現象としての漏斗雲の検出などに対する深層学習による抽出と追跡手法の開発、(3)アラーティングのためのプロトタイプシステムの開発、(4)並列分散化の検討が進められた。本来はこれらを融合したシステムの開発を目的としていたがそこまでは至らなかった。これについては現在実施中の後継の基盤Cの課題として引き続き検討したい。
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