研究課題
基盤研究(C)
本研究では脊椎細胞における複製フォーク巻き戻し経路(RFR)と相同組換え経路(HDR)との機能的な相関関係を明らにすることを目的として、RFRで働くと考えられる1)SHPRH、2)RAD18、及び3)ZRANB3とHDRの中心因子BRCA1との二重変異DT40細胞株を作成し、その表現型解析を行った。各二重変異株はオラパリブ感受性、標的組換え効率、組換えアッセイにおいてBRCA1単独変異株よりより強い表現型を示したことから、RFR経路はHDRと競合的に働くことが示唆された。
複製ブロックの解除は生命にとって根源的な課題である遺伝情報の複製・維持において必須の仕組みである。本研究の対象であるRFR経路は、複製ブロックの解除において従来からよく知られている相同組換えと論理的に競合しうるが、それを逆遺伝的手法によって検証、実証した点に学術的意義がある。また、新しいタイプの抗がん剤として注目されているPARP阻害剤はBRCA1の機能を欠損したがんでより致死作用が強いが、その作用機序として複製再開の仕組みとの関連が考えられる。本研究の結果はPARP阻害剤をはじめとした新しいがん治療薬の作用機序についての基礎的知見を提供する点に社会的意義がある。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
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