研究課題
基盤研究(C)
大強度の加速器施設では、加速粒子線で照射される標的等に膨大な放射性核種が生成される。生成された放射性核種の一部は、加速器の運転中に固体や液体の標的材料物質から気相に移行することが明らかになっており、核種の挙動について調査した。大強度陽子加速器施設J-PARCにおいて、30GeV陽子で照射される金標的内に生成される多様な核種の一部が標的容器内のヘリウム気体に移行する過程と、3GeV陽子で照射される液体水銀標的内に生成されるトリチウムが液体水銀-気相-ステンレス製容器間で移行する過程を詳細に解析した。生成核種の気相への移行と気相中での挙動の特徴について、核種の存在形態を考慮して定量的に考察した。
大強度の加速器施設では、機器の異常等により標的やその容器等が損傷した場合、多量の放射性核種が施設内や周辺環境に拡散する重大事故につながる可能性を有し、これらの事象発生を確実に防止することが安全確保上重要である。本研究では、加速器施設において各種気体中に生成される放射性核種の生成過程、存在状態、挙動について調査し、その特徴を議論した。得られた知見は、異常監視用放射線モニタの高度化、緊急時の核種拡散防止設備の検討等に有益な指針を与えるものである。また、固体や液体中に核反応で生成された放射性核種が気相に移行するメカニズムと時間スケール等の理解において、基礎科学的観点からも重要な知見である。
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JPS Conf. Proc.
巻: 33
10.7566/jpscp.33.011143
10.7566/jpscp.33.011144
巻: -
EPJ Web of Conferences
巻: 153 ページ: 07004-07004
10.1051/epjconf/201715307004