研究課題/領域番号 |
17K00769
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
家政・生活学一般
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研究機関 | 郡山女子大学 |
研究代表者 |
難波 めぐみ 郡山女子大学, 家政学部, 教授 (00326761)
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研究分担者 |
石原 正道 郡山女子大学, 家政学部, 准教授 (10347940)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2018年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2017年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 中世の色 / アジア海上交易 / 色材のルート / 顔料 / 日本の染色文化 / 赤の色材(料) / 海上交易品 / 琉球 / 台湾 |
研究実績の概要 |
本研究では、琉球王朝盛時における赤と台湾の赤の色材(料)の伝来ルートを調査し、中世の色の活用と色材(料)を明らかとすることを目的としている。 平成30年度の調査研究において、琉球王朝衣装の中に「桐板」と呼ばれる中国からの素材で製作された衣装の存在が確認できた。「桐板」とは、見た目は苧麻に類似し透明感があって独特の涼やかな質感を持ち、亜熱帯気候の夏用の衣装の素材として適した貴重なものであるとされている。平成30年度実施した台湾調査では、中世台湾の交易の中心とされた台中、台南には、その素材を確認することができなかった。また、中国における「桐板」の実態についても明らかとなっていない。今後更に、「桐板」について調査を進めることで、繊維素材や色材(料)の伝来ルートを明らかにする手がかりを得ることができると考える。 現在までの研究から、明の時代にアジアの海を自由に渡航が許されていたのは、琉球王国であったことが明らかとなってきているが、隣接する台湾には、琉球や東南アジアからの海上での華やかな交易の記録が残されていない。その後、16世紀末日本国内での中国製品に対する需要が高まっていたにもかかわらず、日本との直接の貿易が禁止され、日本は台湾で中国商人と取引をしていたとされている。また、江戸幕府の三代将軍家光の頃、台南にも江戸幕府の交易船の寄港地があり、アジアの各国との貿易拠点として発展していたとされる。その後、17世紀誕生した東アジアの英雄といわれている鄭成功によって日本(平戸)と中国(福州)、台湾と海上交流があり、東アジア海域における南北の航路の要として台湾は重要な地となった。しかし、今回の現地調査では、台中では漢方薬が盛んに流通していた様子が残されているものの蘇芳や紅花の存在は見られず、琉球王国が盛んに蘇木の交易品を収集してきた国は、隣国の台湾ではなかったことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請者所蔵の「古紅型」試料は、調査を進めていくうちに那覇市歴史博物館収蔵資料(国宝)に最も近いことが明らかとなりつつあることから、当初予定していた手法(破壊分析)による分析を実施することは望ましくないとの判断に至った。そのため、別の手法として同分野研究者に聞き取りを実施し、最も適した分析手法のアドバイスを得ているところである。一方、文献による調査は進んでおり有用な情報の収集が得られている。このことから、所属関連学会(日本家政学会)に論文を投稿する準備を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度の研究遂行内容の継続として、令和元(申請時平成31)年度の当初の研究計画どおり実施していく。 当初研究からの調査から、1)台湾、沖縄の染色文化をまとめ、2)科学的分析調査のまとめ、3)研究成果発表(日本家政学会学会誌)をすすめ、中世の海上での色材(料)の交易品の実態調査研究から、中世における琉球と台湾を取り巻く海上交易と日本の染色文化の一端をあきらかとしていく。
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