研究課題/領域番号 |
17K01175
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
科学社会学・科学技術史
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研究機関 | 静岡文化芸術大学 (2022) 北海道大学 (2020-2021) 名古屋大学 (2017-2019) |
研究代表者 |
宮崎 千穂 静岡文化芸術大学, 文化・芸術研究センター, 准教授 (20723802)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2017年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 医学地誌 / 風土病 / 流行病 / 梅毒 / ロシア帝国 / 中央アジア / 長崎 / 鉱泉 / 感染症 / 鉱泉治療 / トルキスタン / 民族誌 / 温泉 / ロシア / 日本 / 鉱泉学 / 異文化交流史 / 医学史 / 科学史 / 日本史 / ロシア史 |
研究成果の概要 |
今日の医療をめぐる不均衡な国際的秩序は、WHOの疾病地図にみられるように、医学地理学的情報に多くを依拠している。本研究では、これを19世紀後半にグローバルな規模で伝播した西欧医学の諸問題の残滓ととらえ、医学と地理学、民族誌が結びついて帝国の空間を創り出すさまを描くことを試みた。具体的には、ロシア陸軍及び海軍の軍医たちがそれぞれ日本の寄港地と中央アジアの植民地において展開した梅毒に対する医療実践、そしてそれらの場所に関して編んだ医学地誌に着目し、西欧由来のロシア医薬学知が異なる自然・文化環境を背景とする在来の医薬学知といかなる知的な交渉を持ち、それを理解しようとしたのかを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、具体的に、19世紀後半におけるロシア帝国の陸海軍軍医の寄港地及び植民地における梅毒に対する医療実践及び医学地誌の編成のあり方を明らかにした。このことは植民地主義と医学・医療の関連を論じてきた帝国医療研究が従来対象としてこなかったロシア帝国の事例を新たに呈示することであり、本研究は従来の帝国医療研究を相対化し豊かにする一助となった。また、本研究はロシア軍の医療実践や医学地誌の編成がその舞台となる場所の在来知との交渉を必須としていたことを明らかにしているが、このことは新型コロナウィルス感染症への対応を含めて今日その意義が問われている近代科学の内実に迫るために重要な観点を示すこととなった。
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