研究課題/領域番号 |
17K01181
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
科学社会学・科学技術史
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研究機関 | 成城大学 |
研究代表者 |
中根 美知代 成城大学, 法学部, 非常勤講師 (30212088)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2021年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2017年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 小谷正雄 / 小谷の数表 / 触媒プロジェクト / 東京大学工学部数学力学教室 / 寺澤寛一 / 日本学術振興会 / 片山正夫 / 量子力学 / 物理化学 / 『化学本論』 / 玉蟲文一 / 仁田勇 / 水島三一郎 / 杉浦義勝 / 量子力学の日本への移入 / 仁科芳雄 / ユーバーシャル / ライプツィヒ大学 / 理化学研究所 / ゲッチンゲン大学 / 量子力学の移入と物理化学 / ライプツィッヒ大学 / 東京帝国大学力学教室 / ハイトラー・ロンドンの理論 / 量子力学の移入 / 触媒研究 / 量子化学 / 原子分子物理学 / 1930年代の日本人科学者の留学先 / 化学者向け量子力学の移入 / 物性物理 / 原子・分子分野 / 量子物理学 / 科学技術史 / 物性理論 / 日本の物理学史 |
研究実績の概要 |
昨年度までの考察の成果を踏まえ、化学も射程に入れた形での1930年代の量子力学の取り込まれ方を考察した。化学者・片山正夫が中心となって取り組んだ日本学術振興会第13委員会の触媒プロジェクトに、ただひとり物理学者として加わった小谷正雄に注目し、1938年に「小谷の数表」を発表するまでの過程を、小谷の回想録やそこで言及された資料に基づいて具体的に示した。 小谷は、東大物理学科を卒業後、工学部数学力学教室に同期生の犬井鉄郎とともに着任した。小谷は3年足らずで物理学科へ移ったが、数学力学教室の山内恭彦や犬井と一緒に、原子分子分野での量子力学の研究を続けていた。寺澤寛一の影響が強かった東大物理学科は、物理数学主体で、理論物理や量子力学の占める位置が高いとは言いきれないとする発言・記述も見られたので、当時の東大においては、物理学科よりも数学力学教室のほうが、量子力学の研究が活発だった可能性が高い。このことに対しては、関係者の発言にとどまらず、より客観的な資料に基づく分析・評価を今後の課題としたい。 「数表」は小谷研究室と触媒プロジェクトが結びついた形で得られた成果である。学術振興会の発足の意図に基づき、分野・研究機関横断型のプロジェクトとして企画されたものであり、実際に東京・京都・大阪・北海道の帝大や東工大の化学・化学工学者に加え、民間・国立の研究所、陸海軍からもメンバーが集められている。研究計画や触媒研究に関する文献を体系的に集めて一覧できるようにしたことはわかったので、さらなる調査を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナによる研究の遅れはやむをえないので、研究年度最終年の前年として評価した。やるべきことが、より明確になり、その方向での調査は着々と進んでおり、新しい知見もでてきている。しかし、成果をまとめて、内外から広く意見を求めることができていない。そのため、やや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までの研究経過からでてきた課題の調査を進めていく。コロナによる資料閲覧の制限がだいぶゆるやかになったので、資料収集は容易になってくると思われる。 また、国内外の研究者との対面による話し合いの機会を積極的にとり、研究成果を公表できる形でまとめるような方向付けをとっていく。
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