研究課題/領域番号 |
17K01631
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
身体教育学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小林 日出至郎 新潟大学, 人文社会科学系, フェロー (10195802)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2017年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 運動競技 / 身体力 / 魂 / 英雄 / 神々 / 競争 / 力 / 知性 / 身体 / 競技 / 勇気 / 運動 |
研究実績の概要 |
本研究は、ホメロスの英雄叙事詩における運動競技を研究し、人間の幸福に結びつく運動文化思想を解明することである。この研究を達成するためには、時代と地域を越える本質理解ための鍵概念;「競争」「力」「勇気」「知性」「普遍的存在」等の再検討、これらの構造化と関係性の解明に基づく運動競技の本質把握、及び、人間の幸福に結びつく運動競技の解明が必要である。 平成29年度は「『オデュッセイア』におけるメノスに関する研究-神々と英雄の関係を中心として-」(新潟県体育学会平成29年度大会)の研究発表を行ない、運動競技と命懸けの「競争」において、「力(メノス)」「身体」「魂」等の関係性を論考し、運動競技に関する本質解明の基礎的研究を行った。平成30年度は「『オデュッセイア』の運動競技に関する研究―知性と身体力の関係を中心としてー」(日本体育学会第69回大会、2018年8月、徳島大学)の研究発表を行ない、その研究成果は『新潟体育学研究』(新潟県体育学会、2019年3月)に掲載され、令和元年度の「『オデュッセイア』の運動競技に関する研究―運動競技と忍耐力の関係性を中心として-」(日本体育学会第70回大会、2019年9月、慶應義塾大学)の研究では、英雄の忍耐力の分析・考察を行い、「知性」(ヌース、メーティス)「辛抱」(トルメーエイス)「身体力」(メノス、ステノス、アレテー)の重要性を明示した。 以上の研究成果を踏まえつつ、令和2年度には「ホメロス叙事詩の運動競技に関する研究―英雄の精神性に焦点化して-」(日本体育・スポーツ哲学第42回大会、2020年11月、東海学園大学Zoom)を発表し、運動競技に関して戦士的精神性と「名君」的精神性が尊重されていることを解明し、令和3・4年度はそれらの精神性に関する構造的解明を進め、令和5年度では本研究のまとめを報告する計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の目的に対する令和4年度の研究達成度は以下の理由から「やや遅れている」と判断する。 本研究の目的は、ホメロスの英雄叙事詩における人間の競争を研究し、人間の幸福に結びつく運動文化思想を解明することである。平成29年度は、『オデュッセイア』の戦場と運動競技場面における「闘争」「競争」を分析し、英雄の「力」「身体」「魂」と神々の関係を再検討し、時代と地域を超越する運動競技に関する「力」の基礎的研究を行った。また平成30年度の研究では、命の安全性が確保された「競争」として、競技場面が再確認されると共に、それらの場面における「知性」と「身体力」の関係性が明らかになり、令和元年度の研究では、運動競技と関連する英雄の忍耐力が再検討・分析され、その忍耐力には「知性」「辛抱」「身体力」が関係していることが明らかとなった。そして令和2年度の研究では、これまでの研究を踏まえ、叙事詩の運動競技に関して、戦士的精神性と「名君」的精神性が理解された。令和2・3・4年度では戦士的・「名君」的精神性の構造的把握を進めたが、新型コロナウイルス感染防止対応等により研究が停滞した。そのような研究経過により、本研究は「やや遅れている」。 本研究が「やや遅れている」主な理由は次の通りである。平成29年度は、新潟大学教育学部附属長岡小学校校長、同大学教養教育「健康スポーツ科学部門長」、同大学保健体育・スポーツ科学講座長等に任命され、全学・学部改革に関する会議・業務等が多忙化し、また、平成30年度は、引き続き、先の部門長や入試運営委員等に任命され、研究が計画通りに展開できず、令和元年度は前年度委員を継続し公務を行ないつつ、実技検査主任等の責務を行い、令和2・3・4年度では新型コロナウイルス感染防止対応等のため、研究が遅れる事態となった。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度の研究の推進方向は、『イリアス』『オデュッセイア』の運動文化について、「普遍的存在」と英雄という観点から、戦士的精神と「名君」的精神の関係性を探求しつつ、「知性」「辛抱」「身体力」等を構造的に分析・検討し、時代を超越する人間の幸福に繋がる運動文化の思想解明に向けて研究を進める。 本研究の目的は、ホメロスの英雄叙事詩における人間の競争を研究し、人間の幸福に結びつく運動文化思想を解明することである。この目的を達成するためには、時代と地域を越える本質理解ための鍵概念;「普遍的存在」「競争」「知性」「勇気」「力」等の再検討、これらの構造化と関係性の解明に基づく運動競技の本質把握、及び、人間の幸福に結びつく運動文化の解明が必要である。 平成29年度は、『オデュッセイア』の戦場と運動競技場面における「闘争」「競争」状況を分析・探究し、英雄の「力」「身体」「魂」と神々の関係を再検討し、時代と地域を超越する運動競技に関する「力」(メノス)の基礎的研究を行った。平成30年度の研究は、命の安全性が確保された「競争」に関して、運動競技場面における「知性」(ヌース、メーティス)と「身体力」(メノス、ステノス、アレテー)の関係性を明らかにし、令和元年度の研究では、運動競技と関連する英雄の忍耐力に関して探究し、それには「知性」「辛抱」(トルメーエイス)「身体力」が関係していることが理解され、令和2年度の研究では、運動競技に関する戦士的精神と「名君」的精神の重要性が明らかになり、令和3・4年度は両精神性の構造的解明を進めた。 令和5年度は、令和4年度までの研究成果を踏まえつつ、叙事詩における英雄の精神性や運動競技、「知性」「辛抱」「身体力」等の分析・検討を進めると共に、ホメロスの運動競技の本質を探究し、人間の幸福に結びつく運動文化の解明に向けて研究を進める。
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