研究課題
基盤研究(C)
ヒト頭蓋骨縫合早期癒合症の骨癒合部位に高発現する遺伝子として単離されたNELL1は、種々の動物実験において骨形成を促進することから、新しい骨形成因子として注目を集めているが、NELL1の特異的な受容体および骨形成を促進するシグナル伝達機構の詳細は明らかになっていない。本研究ではNELL1受容体の探索およびシグナル伝達機構の解明に取り組んだ結果、NELL1の新奇受容体として間葉系細胞でおもに発現しているRobo2を同定した。さらに、酸性条件下においてのみ結合する様式を解明し、新たな骨形成シグナルとして働く可能性を示唆した。
骨再生・欠損修復製剤として欧米で承認されているBMPのような成長因子は分子量が30 k以下のサイトカインであるが、NELL1は3量体で400 kを超える巨大分子であり、分子の性状や局在においても大きく異なっている。このような新奇骨形成因子NELL1の受容体であるRobo2の同定と、酸性条件に特異的な結合様式の発見は、骨再生医療への応用の可能性を高め、さらに新たな創薬のターゲットとなることが期待される。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Journal of Biological Chemistry
巻: 294 号: 12 ページ: 4693-4703
10.1074/jbc.ra118.005819