研究課題/領域番号 |
17K02064
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
地域研究
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研究機関 | 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所 |
研究代表者 |
佐藤 千鶴子 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター, 主任調査研究員 (40425012)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2020年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2017年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 難民 / 移民 / 南アフリカ / コンゴ民主共和国 / ゼノフォビア / コロナ禍 / 生計活動 / 社会的統合 / マラウィ / アフリカ / 移民・難民問題 |
研究実績の概要 |
本研究は、民主化後の南アフリカにおける移民・難民の脆弱性克服と社会的統合の課題を明らかにすることを目的としている。2022年度はコロナ禍による渡航制限が解除され、2年ぶりに南アフリカとマラウイで現地調査を実施することができた。特に南アフリカでは、2018年度に実施した聞き取り調査の対象者34名に対して、コロナ禍とロックダウンの時期を含む過去4年間の生活の変化を尋ねるフォローアップ調査を行った。今回のフォローアップ調査での聞き取り実施者の多くはコンゴ民主共和国出身者であった。 南アフリカ政府による感染対策や行動制限の実施状況のみならず、人びとの意識の上でも、2022年の南アフリカはすでにアフター・コロナと言える状況であった。しかし、コロナ禍とその後の国際情勢による南アフリカ経済への打撃は深刻で、職を失った移民のみならず、難民や庇護申請者のなかでも出身国への帰還を選択する人びとが増加していることが聞き取り調査を通じて明らかになった。この事実は、果たして彼(女)らはそもそも難民なのか、というきわめて扱いにくい疑問を生じさせる。人の移動や移動する人びとの保護に関する研究は、現実をより反映したものへと変えていく必要があるのかもしれない。また、移民や難民がクリニックや病院を利用する際の困難や差別など、以前とは異なる形態のゼノフォビアも観察され、コロナ禍を経て、移民・難民の南アフリカ社会への統合がますます困難になっていることも明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症のパンデミック化と渡航制限により、2020年度と2021年度には現地調査が実施できなかったために研究の進捗が遅れ、本研究課題は当初の計画よりも3年間延長して取り組むことになった。さらに、コロナ禍という研究開始当初は想定していなかった事態が起こり、コロナ禍は南アフリカ社会全体やそこに暮らす移民・難民にも大きな影響を与えているため、当初の研究計画の内容を修正する必要性も生じた。幸い2022年度には渡航制限が解除され、コロナ禍とロックダウンの時期を含む過去4年間の生活の変化を尋ねるフォローアップ調査を実施することができた。コロナ禍の2年間に生じた遅れを完全に取り戻すには至っていないものの、これまでの研究成果をまとめるための目途はつきつつある。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は研究の最終年度となるため、これまでに実施した聞き取り調査と文献調査の結果をまとめ、7月にイギリスの大学で行われる国際学術会議において暫定的な成果報告を行い、研究者からのフィードバックを得ることにする。また、南アフリカでのフォローアップ調査を継続し、フォローアップ調査の聞き取り実施者の母数を増やすことで、研究成果の精度を高めることにしたい。
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