研究課題/領域番号 |
17K02163
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
哲学・倫理学
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
佐々木 拓 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (70723386)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2018年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2017年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 依存症 / 非難 / 道徳的責任 / スキャンロン / 関係 / 責任 / 非難の哲学・倫理学 / 依存症神経科学倫理 / 責任能力 / 非難の関係性説 / 道徳的非難 / 責任論 / 関係性 / 非難の倫理学 / 責任帰属 / 自由意志 |
研究成果の概要 |
本研究の目的は、依存症に関わる医療者や支援者が依存者の行為者性を再考するのに資する責任評価の思考枠組みを構築することであった。T・スキャンロンの非難の関係性理論に基づきこの枠組みを示した。すなわち、依存症者の行動の責任を適切に評価するためには、評価者と依存症者との間に適切な関係が必要であり、その関係を構成する規範の考察を通じて、非難することの妥当性および非難のあり方が決定される。また、依存症者と個別的関係をもたない者は非難する資格をもたず、強い非難は逆に道徳的非難に値することを示した。 以上の研究成果は共著書『心の臨床を哲学する』(新曜社、2020年5月出版)掲載の論文にまとめられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来の責任論では評価することが難しかった依存症者の道徳的責任を、非難という枠組みに落とし込むことでその評価の可能性を開拓した。とりわけ、依存症者をその行為全般に関する無能力者にせず、部分的な責任免除と責任帰属が可能な思考枠組みを提示したことは、依存症の倫理学だけでなく、現代の責任論にとっても大きな貢献である。 その行動を評価する依存症者との個別的関係の内容、すなわちわれわれは依存症者に対して何を期待し、どのような態度や行動を意図するかを考え直すことで、依存症者の依存行動に対する対処の仕方がわかる点を示したことは、依存症者の身近にいる家族や医療従事者が依存症者の行動を再評価するのに有益である。
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