研究課題/領域番号 |
17K02188
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
哲学・倫理学
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
藤本 一勇 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (70318731)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
|
配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2017年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 技術哲学 / 存在論 / 脱構築 / メディア / 情報 / 生命 / 亡霊 / 来たるべきデモクラシー / メディア論 / 哲学 / 現代思想 / 先端テクノロジー / 亡霊性 / 精神 / 唯物論 / 技術論 / 遠隔コミュニケーション / 現前の形而上学 / 宗教 / 思想史 / 倫理学 / 情報基礎 / 芸術諸学 |
研究成果の概要 |
フランスの哲学者ジャック・デリダは、伝統的な西洋存在論の存在概念の核心部に、従来対立すると考えられてきた技術概念を導入し、存在論の枠組みを作り変えた。物質界から生命界を経て人間界に至る多様な技術性を視野に収めた結果わかるのは、人間の技術の特殊性が一挙に距離を廃そうとする直接性への欲望にあるということだ(「現前の形而上学」)。しかし技術や存在に内在する「ずれ」や「間」を否定し排除するとき、悪しき暴力が発動する。デリダは技術に存在する「ずれ」を開放的に活用する技術を「脱構築的な技術」として探究し、それを人間に憑依する言語や思考の欲望のなかに求めたと言える。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
デリダの技術存在論を探究することによって、人間や世界の存在にとって技術の問題が二次的ではなく本源的なものであること、自然も一個の技術であることを哲学的に立証したことは、存在と技術を対立関係に置き、技術問題を貶めてきた伝統的存在論の哲学に大きな反省を迫ることができる。同時に、抽象的な哲学的存在論の議論の核心に技術の問題をすえることによって、技術と人間、技術と社会との関係にも新たな光を当てることができた。またデリダが技術の本質として、遠さと近さ、可能性と不可能性の永遠の循環構造を提示したことを明らかにした点も、現代の情報メディア技術社会における批判的創造の哲学的基礎づけとして期待される。
|