研究課題
基盤研究(C)
本研究の成果は、以下の5分野に大別できる。(1)アーラヤ識説に関する文献学的研究。最初期のアーラヤ識説が、禅定における身心相関の直観的把握を前提としていたことを論じた。(2) アーラヤ識説と密接に関係する種子説の発展に関する研究。この分野では、種子説の同時因果・異時因果の問題、種姓説、種子説の発展における「分別」の役割等を検討した。(3)禅定中における身心関係の検討の一環として、深い禅定中の五識のはたらきを検討した。(4) 種子説を検討する一環として、『成唯識論』に説かれる種子の本有・新熏をめぐる異説の背景を検討した。(5) 成果を広く共有するため、異分野の研究者との連携を模索した。
瑜伽行派のアーラヤ識説は、一種の深層心理学として理解されることが多く、また無我輪廻を説明するための理論的要請とされたり、唯心説を成り立たせるために必要な種子説の基盤とされるなど、心理的・教理的側面から考察されることが一般的であったように思われる。一方、瑜伽行派の理論の背景に禅定の実践があるということは以前から言われてきたことであるが、その具体的な根拠は必ずしも明確にされていなかったように思われる。今回の研究では、文献資料に基づき、身心相関の要としてのアーラヤ識の役割を明確化することに努めた。そして、その成果を仏教学者のみならず心理学等の研究者・実践者とも共有し、広く社会に還元することを試みた。
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