研究課題/領域番号 |
17K02240
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
宗教学
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研究機関 | 広島女学院大学 |
研究代表者 |
澤村 雅史 広島女学院大学, 共通教育部門, 教授 (50549326)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2020年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2018年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2017年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | マタイ福音書 / イグナティオスの手紙 / 受容史 / 初期キリスト教 / 受容 / マタイによる福音書 / 使徒教父文書 / fiscus Judaicus(ユダヤ金庫税) / 資源動員論 / Gospel of Matthew / Christology / lawlessness / anomia / キリスト論 / 三称定式 / 二神的一神教 / Triadic Formula / Binitarian Monotheism / 新約聖書学 / 宗教史 / 宗教学 |
研究成果の概要 |
「キリスト教」はいつから「キリスト教」になったのか。本研究ではこの問いに取り組むために、使徒教父文書においてマタイ福音書がどのように「受容」されているかに着目し、2世紀の教父イグナティオスの手紙におけるマタイ福音書の「受容」に「近さ」と「隔たり」という相反する要素を見出した。この矛盾要素はマタイ共同体からイグナティオス共同体が分離していくプロセスを反映していること、そしてこのプロセスはイグナティオス共同体の内的必然性に加えてローマ帝国による圧迫という外的条件の変化がもたらしたものであり、「ユダヤ教」、「ユダヤ主義的キリスト教」、「キリスト教」に向けての分離と確立の萌芽であることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、マタイ福音書の初期キリスト教における「受容」について聖書学の視点から分析を行う中で、イグナティオスの手紙が示すマタイ福音書への「近さ」と「隔たり」を見出し、イグナティオスの「反ユダヤ」的言説はユダヤ教ではなく、マタイ福音書に代表される「ユダヤ主義」に向けられたものであることを論証した。 これにより、従来広く受け入れられてきた「ユダヤ教」から「キリスト教」が生まれたという単純化された構図を否定し、「キリスト教の起源」を巡る問いをいわゆる「置換神学」の呪縛から解放すること、そして21世紀における宗教や民族を巡る建設的対話の出発点を見出すことに寄与したと考える。
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