研究課題/領域番号 |
17K02324
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
美術史
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研究機関 | 多摩美術大学 |
研究代表者 |
鶴岡 真弓 多摩美術大学, その他, 特定研究員 (80245000)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2018年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2017年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 黄金の鹿 / スキタイ美術 / ユーラシア / 鹿角信仰 / 動物意匠 / 生命循環 / ケルト美術 / 渦巻文様 / 草原文化 / 鹿角 / ケルト文化 / 渦巻 / スキタイ / 南シベリア / 大古墳 / 黄金 / 黒海沿岸 / シベリア / 中央アジア / 騎馬遊牧民 / ロック・カーヴィング / 刺青 / ミイラ / アルタイ地方 / 大墳墓 / 大角 / 意匠・文様 / エルミタージュ美術館 / アルタイ / トーテミズム / 黄金素材 / 鹿角造形 / ユーロ=アジア文明圏 / 鹿信仰と再生神話 / 生命表象 |
研究成果の概要 |
この研究は、先史ユーラシア草原文化の「動物意匠」の白眉であるサンクト・ペテルブルクのエルミタージュ美術館蔵のスキタイ美術の至宝「黄金の鹿」(北コーカサス、前7世紀末)の「巨角」に注目し、それを単なる装飾ではなく「生命循環」のメタファーとして解読した。古来遊牧民にとって「鹿角」は、冬に枯れ木となり地に落ちても、必ず春に再生することから、「死からの再生」の象徴として崇められてきた。 また従来「弱肉強食」の図と解釈されてきたスキタイ「動物闘争文様」の「捕食者に殺される犠牲獣=鹿」も、その「反転」の構図から、「生命循環」の表現が読み取れる。日本文化の鹿崇拝もユーラシアを貫く死生観から解読できるだろう。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
研究対象とした「黄金の鹿」は現在のウクライナにあった「スキティア」の遊牧騎馬民族のスキタイの芸術である。この鹿像は単に生態を描写したものではなく、首を挙げ前方を凝視する鹿は、たとえ捕食者に殺され犠牲となっても、その命は大自然の生命循環に捧げられ未来への「再生のための死」となるよう「祈り」造形された。 「精霊」としての鹿神話は西はアイルランドから東はモンゴルまでに貫かれユーラシアの少数民族社会は動物美術を持続している。動物と共生した遊牧民芸術に光を当てた本研究は「新人世」と呼ばれる時代に入った私たち人類が「生きとし生けるもの」と共に生きる叡知を取り戻す根源的方法を社会的に提供できると考える。
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