研究課題
基盤研究(C)
もっとも大きな成果は馬の図像に関するものである。中国仏教美術では悉達多太子の乗馬カンタカと転輪聖王の馬宝は赤い鬣と尾をもつ白馬として表現される。しかし仏典ではカンタカは白馬だが鬣と尾の色彩は記述されておらず、馬宝は元来紺青色の馬である。これらに対し、古代の神話的地理書である『山海経』に登場する「吉量」は白馬朱鬣という特徴を有する馬で、この中国伝統思想の瑞馬が北朝期には仏教美術に取り入れられ、唐時代に次第に浸透していったことを明らかにした。
インドで生まれた仏教は、美術とともにアジア各地に伝播したが、各地域でその地の文化・思想と交わり、それぞれ異なる発展を遂げていった。本研究の成果は、ごく一部ではあるが「仏教美術の中国的展開」という大きな流れの一端を明らかにすることができた。わが国の美術も中国仏教美術の大きな影響下に形成されているため、その解明にも資することが期待される。
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仏教芸術
巻: 4 ページ: 33-50
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