研究課題/領域番号 |
17K02467
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
日本文学
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
石原 千秋 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (00159758)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2017年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | ジェンダー・トラブル / 女性性 / 男性性 / 内面の社会性 / 漱石文学 / 男性知識人 / アイデンティティ / 矛盾 / 内面 / 夏目漱石 / 因果関係 / 日本近代文学 / 漱石的主人公 / 女の謎 / 物語的主人公 / 小説的主人公 |
研究成果の概要 |
明治期の文学では女性は統一的な自我を持ち得ないと考えられていたので、女性の内面は「矛盾」という言葉で形容されることが多かった。しかし、男性知識人の内面も「矛盾」していると気づいた作家が、夏目漱石だった。 たとえば、『彼岸過迄』『行人』『こころ』といういわゆる後期三部作の男性知識人主人公たちは、自己の内面が「矛盾」していることに悩んでいる。これを同時代の文学の中に置いてみれば、男性知識人を書いているつもりが、図らずも女性の内面を書いていたことになる。これが文学上の「ジェンダー・トラブル」である。近代文学においてはじめて女性の内面を書いたのは、漱石だった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
女性の内面は生物学的な女性に固有のものではなく、社会的な女性性による言説のことである。それがいつ、どのように可能になったのかはいわゆる実証できることではない。そこで、特に漱石の時代に女性の内面が「矛盾」として理解されていたことに注目して、この課題にアプローチした。この実証できないことを課題とするアプローチにも学術的意義がある。 研究の結果、漱石文学では知識人男性主人公が「矛盾」という女性性を帯びており、教養のある女性主人公が男性性を帯びていることが明らかになった。これを文学上のジェンダー・トラブルと呼びたい。内面がいかに社会的要素を帯びているかを明らかにしたことに社会的意味がある。
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