研究課題/領域番号 |
17K02591
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ヨーロッパ文学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森本 淳生 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (90283671)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2017年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 自伝 / 回想録小説 / 一人称小説 / フィクション / 文学場 / マイナー文学 / ピカレスク小説 / 書簡体小説 / 窃視・盗聴 / モデルニテ / 周縁性 / 近代文学 |
研究成果の概要 |
レチフ・ド・ラ・ブルトンヌ(1743-1806)はブルゴーニュ地方の富農の息子として生まれ、印刷屋で徒弟修行をした後に作家となった。近代に識字率が上昇する中、西欧世界は「誰もが書き誰もが読む」新しい時代に突入したが、彼はこの大衆化のプロセスを代表する人物である。宗教的、貴族的な権威を持たず、ルソーのように高い文学的評価に恵まれることもなかったレチフは、民衆のように文学場の周縁に位置する存在であり、生計をたてるために書く近代的な意味での最初の職業作家だった。本研究はレチフの諸作品の精読と当時の文学伝統の分析を通して、18世紀後半にどのように「文学的モダニティ」が生成したかを示すものである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
レチフは従来あまり顧みられることがなかった作家であり、その膨大な著作が研究しつくされたとは言いがたく、モノグラフを試みることにはいまなお大きな意味がある。古典主義詩学が衰退し従来のジャンルが危機に陥った時代の中で、数多くのジャンルを横断・混淆するかたちで創作を行ったレチフを考察することは、この時代の変化の内実や19世紀以降の文学のあり方を把握するうえで大きな利点を持ち、文学とモデルニテの関係に対する理解を深化させるものである。また、レチフの虚構を含む自伝的作品を研究することは、現代において我々ひとりひとりが抱えている「自己との困難な関係」を捉え直す契機となりうるから、社会的な意義も大きい。
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