研究課題/領域番号 |
17K02592
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ヨーロッパ文学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中 直一 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 教授 (50143326)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2017年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 森鴎外 / 比較文学 / 翻訳 / ヨーロッパ文学 / 異文化理解 / ヨーロッパ文學 / ドイツ語 / ドイツ文学 / 異文化受容 / 外国文学 |
研究成果の概要 |
本研究に於て、主に以下の研究成果が得られた。(1)森鴎外の初期翻訳では、原文独語の構文を敢えて変形して和訳し、訳文に於る過去形の羅列を避ける技法が見られる。(2)初期の翻訳の中で、原文にない文章が付加されるケースがある。(3)これとは逆に省略も見られる。(4)初出と全集版では異同が見られる場合のあることが明らかになった。(5)鴎外の翻訳には、少年向け翻訳でルビを多用する等、読者層を意識した訳文が見られる。(6)鴎外の翻訳の中には、抄訳とも言える翻訳も散見される。(7)後の時代になると、鴎外の翻訳を批判する批評家も出現した。(8)研究期間中に、鴎外の翻訳底本の多くの複写を収集し得た。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
森鴎外の翻訳についての研究は、翻訳学の観点のみならず、異文化受容の観点からも学術的意義があるものと考えられる。即ち、森鴎外の翻訳家としての活動を分析することにより、鴎外がドイツ語原文を逐語的に日本語に訳したのではなく、かなり自由に翻訳したことが解明されたが、これは鴎外が、当時の読者にとって異文化を受容しやすいように工夫を行った結果であると目される。また本研究は、翻訳が社会に及ぼす影響を、明治中期の実例をもって明らかにすることを通じ、現代における翻訳と社会の関係を考察する題材を与えるものであり、この観点からの社会的意義を有するものである。
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