研究課題/領域番号 |
17K02604
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ヨーロッパ文学
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
江島 泰子 日本大学, 法学部, 特任教授 (80219261)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2018年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2017年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | フランス文学 / 19世紀 / キリスト教 / 脱宗教性 / 死刑廃止論 / 19世紀 / カトリック教会 / 反教権主義 / ライシテ / 脱宗教化 / 第三共和政 / 死刑廃止 / 仏文学 |
研究実績の概要 |
コロナ禍と病気療養のため海外渡航に制限がかかり、フランスでの調査研究が計画通りに進まない状況が続いたため、科研費を出版費用に使用することを決定している。令和4年度中の出版を目ざしていたが、現在までの研究成果論文のなかで出版予定書籍に利用できるものは限られる(「バランシュにおける『現行のエポプティスム』と死刑廃止論」、「ヴィニー『ダフネ』における脱宗教性」など)ため、新たな資料精査と執筆に時間がかかっている。延長の間にも『ライシテ:一つの言葉の歴史』(2022年出版)など新たに興味深い文献が出版されており、コロナ禍関連再延長制度を利用してさらに一年の研究継続を選択した。出版社の了承をすでに得ており、引き続き出版に向けての作業を継続している。 国際ルナン学会において「信仰とライシテ」をテーマとした大会あるいは研究会を開催することが研究計画書における目的のひとつであったが、令和5年度(2023年)に実現する運びとなった。本研究着手の初期段階から学会のメンバーに要望を伝えていたが、それがルナン生誕200周年記念大会(11月末あるいは12月初旬開催予定)という重要な大会で扱われることになった。「エルネスト・ルナンー信仰とライシテのはざまで」であり、すでに発表者全員と発表タイトル(仮)が決定している。海外渡航に支障なしとする医師の判断にもとづき、発表者の一人として参加する予定である。発表テーマはルナン『イスラエル民族史』に関するものとした。昨年末に行ったテーマ選定にあたっては、ローディス・レタ『ルナンのイスラエル』等の基本文献を再読し、またジャン・ジョレスのルナン言及を確認するなどの作業が必要であった。科研費の残額は出版費用にあてることを決定しており、渡航費用は私費となるが研究遂行に必要な経費と考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
すでに昨年度にも記載したとおり、本研究の過程で、2つの国内共同シンポジウムとテーマの決まった国際学会での発表に参加した。それにより成果として2冊の共著の出版にいたり、また国際学会での発表は論文として学会誌に掲載された。これらの成果は、ライシテや死刑廃止に関連するテーマが核となっていて研究計画に沿ったものである。一方、それぞれの成果において別テーマが交差することになった。その一例として『ルナン研究』第121号(Etudes Renaniennes 2021)に掲載された「ルナン作品の日本受容ー脱宗教化されたキリスト像と近代黎明期の危機的意識におけるその照射」がある。これはルナンの日本導入史であるため、ライシテの問題をとりあげてはいるものの、執筆中の書籍に含めるのが困難な内容である。このように、本研究は国内外の他の研究者たちとの協働という肯定的な側面をもちえた一方、当初の計画より多岐にわたってしまったことはいなめず、一冊の書籍にする場合には取捨選択の調整が必要となる。出版にあたっては、全体としての統一性を重視して、今までの研究成果内容の精査、新たな加筆が必要となっている状況である。ただし、ある程度執筆が進行するなかで方向性は昨年度より鮮明になってきており、したがって昨年度は「やや遅れている」としたが、今回は「おおむね順調に進展している」を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
一冊の書籍の出版をめざす。現在までに共著に発表した論文については、現在企図している書籍に利用できない。そのため、それらについては出版予定の著書と何らかのかたちで関連づけることができるか、さらに精査する。紀要や学会誌にすでに発表した論文((「バランシュにおける『現行のエポプティスム』と死刑廃止論」、「ヴィニー『ダフネ』における脱宗教性」、「アンベール・クレリザックにおけるキリストと聖パウロ、そして教会―キリスト教における脱宗教化の一考察―」など)については、出版予定著書の統一感を重視しつつ一部を利用する。あらたな興味深い研究書(『ライシテ:一つの言葉の歴史』など)も入手しており、これらの精読と考察を行い、その成果も取り込んで加筆していく。 企図している著書とは別に、現在までに発表した研究成果を「研究成果報告書」としてまとめて提出する。 令和5年度年度末に開催予定の国際ルナン学会「エルネストルナン生誕200周年大会」の発表にむけて準備をする。
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