研究課題/領域番号 |
17K02633
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ヨーロッパ文学
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研究機関 | 福岡大学 (2018-2021) 長崎外国語大学 (2017) |
研究代表者 |
田口 武史 福岡大学, 人文学部, 教授 (70548833)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2017年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 汎愛派 / 教育思想 / 啓蒙 / 体育 / 身体論 / 市民社会 / コスモポリタニズム / パトリオティズム / グーツムーツ / 近代市民 / 身体 / 汎愛主義 / 遊戯 / 国民 / ナショナル・アイデンティティ / 祖国愛 / オリンピック / ゲルマン / ナショナリズム / モーザー / 人間の使命 / シュパルディング / ヘルダー / ゲレス / 神話 / インド‐ゲルマン / Volk / Nation / 公教育 |
研究成果の概要 |
ドイツ汎愛派による教育改革が持つ意味を、18-19世紀転換期の思想と社会をふまえて検討した。汎愛派は、自然な発育と実務的市民の育成という、矛盾を孕む二つの教育方針を提唱した。すなわち彼らは、個人の自律性と公共心の両立を目指したのであるが、その根底には、人間は社会的に有用な知性と身体を「自然」に獲得できるはずだという想定が指摘される。 功利主義と目的論に基づくこの人間観は、グーツムーツが汎愛学校で開発した体育教育に、最も明確に表れている。彼の体育は、古代ギリシアの全人教育を復活させたものであるとともに、国家社会の規範に即した心身の自己統御を、近代市民の倫理的使命として定位する働きをした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究はドイツ汎愛派の教育思想を、近代市民が求めた新しい人間像・社会観の発現として解釈した。汎愛派は、家庭教育を前提とするロックやルソーの教育理念を、初めて学校教育として実践したのであるが、とりわけグーツムーツによる体育の教科化は、思想史の観点で重大な意味を持つ。身体活動をカリキュラムに組み込むことで、知性による心身の自己統御を促すとともに、それを公教育が指導すべき社会的行為としたからである。 汎愛派は学習の内容と成果を、有用性を指標として評価した。近代市民の価値観を如実に反映した教育方針であるが、有用性の判断が政治状況に大きく左右された歴史に鑑みると、その妥当性を慎重に見極める必要がある。
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