研究課題/領域番号 |
17K03065
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
日本史
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
市 大樹 大阪大学, 大学院人文学研究科(人文学専攻、芸術学専攻、日本学専攻), 教授 (00343004)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2018年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2017年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 文書木簡 / 型式分類 / 機能的分類 / 墨書土器 / 7世紀木簡 / 韓国木簡 / 隠岐国荷札木簡 / 日欧古文書比較 / 飛鳥木簡 / 宮衛令 / 衛禁律 / 王宮 / 都城 / 大化改新 / 文字文化 / 咸安城山山城木簡 / 慶州月城垓字出木簡 / 日本の7世紀木簡 / 飛鳥時代の王宮 / 日中王宮の違い / 日本の漢字使用 / 木簡の視覚機能 / 東アジア法制史料 / 石碑 / 木簡廃棄論 / 木簡機能論 / 木簡形態論 / 日本古代木簡 / 中国木簡 / 文書機能 / 日本古代国家成立 |
研究実績の概要 |
本研究は、(1)東アジアという視点から「日本古代木簡の源流と特質」を探ることを最大の目標とする。中国・韓国の木簡研究にも正面から向き合い、その方法論を学ぶとともに、日本古代木簡の研究で培われた方法論の発信につとめ、その相乗効果によって日本古代木簡研究の飛躍を図りたい。関連して、(2)木簡研究から導き出される〈文書機能論〉の観点から、従来の〈文書様式論〉に依拠した古文書学を再検討し、新たな史料学に向けた提言をする。さらに、(3)木簡研究の成果を日本古代国家成立論のなかに反映させることも狙う。(2)(3)によって、木簡研究の有効性を示したい。 こうした目標のもと、本年度は特に次のような研究実績をあげた。第一に、上記の視点に立った研究成果について、韓国国立京慶大学校人文学術院HK+事業団国際シンポジウム「木簡に反映された古代東アジアの行政と行政制度」において、日本・韓国・中国の研究者に対して、「日本古代文書木簡の展開」と題する口頭報告をおこなった。また、韓国の木簡学会において、「三上喜孝「日本古代木簡の型式分類と機能的分類」に対するコメント」と題して、木簡の型式分類・機能的分類に関する研究現状と課題について口頭報告をおこなった。第二に、論文「宮都の墨書土器」を発表し、木簡との関係についても言及しつつ、土器の生産・納品、土器の保管・使用という場面に即して、土器に墨書する意味について検討した。第三に、論文「古代王宮の護り」を発表し、宮都出土の木簡も活用しながら、王宮警備のあり方について検討した。第四に、論文「畿内の駅家と駅路」を発表し、木簡も活用しながら、畿内の駅家と駅路の特徴について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、(1)東アジアという視点から「日本古代木簡の源流と特質」を探る、(2)木簡研究から導き出される〈文書機能論〉の観点から、新たな史料学に向けた提言をする、(3)木簡研究の成果を日本古代国家成立論のなかに反映させることを目指している。この目標に向かって、2017~2021年度に引き続き、本年度も、①遺跡・遺構の状況、木簡の形状に留意しながら、文字以外の情報も最大限に読み取ること、②木簡を群として捉える視点に立って、木簡のライフサイクルを明らかにすること、③木簡の使用場面を具体的に思い描きながら、場面ごとに木簡の機能を追求すること、④木簡の周囲にも目を向け、紙と木の使い分け、文書伝達と口頭伝達の関係を明らかにすることに留意しながら、検討をおこなった。 研究実績の概要の欄に記したように、これらの研究の総括的な内容について、二つの国際学会において発表・コメントをおこなうことができたのは、今年度の特に大きな成果であったと考える。当初は現地に出向いて発表することを予定していたが、コロナ禍のためオンライン参加となったのは残念なことであった。とはいえ、オンラインを通して一定程度の意見交換をおこなうことはでき、今後の研究に向けて大きな指針を得ることができたのは幸いであった。また、コロナ禍のため、木簡の現物調査を十分におこなうことはできなかったが、写真版を積極的に活用してそれを補うべく努力をおこない、木簡を活用した複数の論文を発表することができた。 また、隣接分野に対しても、いくつかの論文や書評を発表し、口頭発表をおこなうことができた。 これらの点を総合して、研究はおおむね順調に進展しているものと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
3年間続いたコロナ禍もおさまりつつあるので、状況を慎重に見極めた上で、可能なかぎり、木簡の現物調査、木簡出土遺跡の現地調査を実施したい。また、(あ)日本古代木簡の資料的特質を明らかにする作業、(い)日本古代木簡の個別的な検討を進め、それを日本古代史全体のなかに位置づける作業、(う)日本古代木簡を相対化するための作業は、これまでも強く意識しながら研究を進めてきたが、2023年度は研究の最終年度ということもあって、より総括的な検討に重点をおきたいと考えている。本研究は日本の古代木簡の検討に重点があるが、韓国木簡や中国木簡にも広く目配りをすることによって、東アジア史的な視野のなかで日本古代国家の特徴を考えることを目標にしているので、これまで以上に韓国・中国における研究状況に注意を払うようにしたい。その際、木簡だけにとらわれずに、幅広く研究成果を吸収していきたい。最近では、木簡研究と並行しながら、都城制度や交通制度について研究もおこない、研究の相乗効果をねらっている。2023年度中に『日本古代の宮都と交通』を刊行する予定であるので、そのなかに木簡研究の成果も組み込みたいと考えている。
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