研究課題/領域番号 |
17K03171
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ヨーロッパ史・アメリカ史
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
服部 良久 京都大学, 文学研究科, 名誉教授 (80122365)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2017年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | ドイツ / 中世後期 / コミュニケーション / 政治秩序 / 儀礼 / 同盟 / ネットワーク / 公論 / アソシエーション / 公共圏 / アソシエイション / 紛争 / アイデンティティ / 多元性 / 国王 / 諸侯 |
研究成果の概要 |
集権的国民国家モデルを参照軸として中世後期のドイツを領邦分立、没落・衰退の時代と捉える国制史観を克服するため、広範な政治主体(選定侯、諸侯、貴族、都市民、知識人など)の間の多様なコミュニケーションの展開に着目した。一方で王の、法制度・組織化ではなく多様な可視的メディアを用いた臣民に対する権威の表象、演出、他方で君主から自律的に展開する諸侯、貴族、都市民相互の同盟、連合のネットワーク形成による地域の平和秩序形成が中世後期には活発化し、それら多様な主体による多元的な政治的コミュニケーションが君主の権威との相互関係により、ポリセントリックな王国の緩やかな政治的統合が維持されたことを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
21世紀の歴史学方法論として現れた政治文化、言語・象徴儀礼を媒体とするコミュニケーション論の方法により、中世後期ドイツ史を没落の過程というイメージから解放し、制度国家、法治国家とは異なる固有の政治秩序による緩やかな政治的共同体として捉えなおした。すなわち王と諸侯のみならずより広範な政治主体によるコミュニケーションの拡大と稠密化が、地域、広域的な政治的ネットワークを形成し、また言語コミュニケーション空間を一種の公論として出現させた。君主の権威と統治はこのようなコミュニケーション空間との相互関係により成り立っていたことを明らかにした。この視点は国家を相対化する現代世界のあり方の考察にも貢献する。
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