研究課題/領域番号 |
17K03297
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
文化人類学・民俗学
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研究機関 | 国立民族学博物館 (2021-2022) 立教大学 (2017-2020) |
研究代表者 |
中川 理 国立民族学博物館, グローバル現象研究部, 准教授 (30402986)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2017年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | グローバリゼーション / 主権 / 難民 / 平等性 / 文化人類学 / グローバル・スタディーズ |
研究実績の概要 |
本研究課題は、ラオスから難民としてフランスに移住した少数民族であるモン(Hmong)を対象とし、①モンと国家との関係性、②モン・コミュニティ内の平等性とヒエラルキーの動態、③モンのトランスナショナルなネットワークの三点を、相互に関連付けて理解することを目的としている。新型コロナウィルス感染症の影響に伴う延長期間となる2022年度は、これまでに実施したフィールド調査の成果を分析するとともに理論的考察を行い、その成果を発表した。 国際シンポジウム「Family Potential in Uncertain Times」(2023年3月14-16日)において、論文「Freedom and dependence among Hmong refugee families in France」を口頭発表した。この発表は、モン難民家族が親族への依存を通して自由と平等を実現しているという逆説的な関係を、ラオスからフランスおよびフランスから仏領ギアナへの移住の事例を通して明らかにするものである。モンのトランスナショナルなネットワークと平等性の関係を解明している点で、本研究課題の中心的な問いに答える主要な成果であるといえる。また、「グローバル資本主義における多様な論理の接合」を、民博共同研究会(2022年11月20日)において発表した。本発表は、モン難民コミュニティと周囲の社会の関係性について考察するための理論的基盤を検討するものである。 2022年度の後半には、これまで新型コロナウィルス感染症により実施が困難であったフランスでのフィールドワークを実施する予定であった。しかし、現地の調査環境の改善が十分でなかったため、より好適な環境が予想される2023年度に調査の実施を延期することを決断した。補助事業期間の再延長を申請し、2023年度に研究全体のまとめを実施することとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度前半は新型コロナウィルス感染症によって調査が困難な状況が継続し、後半も現地の調査環境の改善が十分でなかったため、2022年度に計画していた調査を実施することができなかった。そのため、とりわけトランスナショナルなネットワーク(ラオスへの訪問、結婚、送金)、宗教的実践、ジェンダー関係など調査を予定していた項目について、また、その他の追加調査を予定していた項目についても、必要な情報を得ることができていない。これにより、データの蓄積や分析など研究計画の進捗に遅れが生じている。2019年度の途中までで得られたデータに基づいて分析を行わざるを得ない状況が継続している。そのため、新型コロナウィルス感染症の影響に伴う補助事業期間延長の特例を利用して研究期間を一年延長し、2023年度に研究計画全体を遂行するかたちに研究計画を修正した。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症のため延期していたフィールドワークを2023年度中に実施し、必要なデータ(トランスナショナルなネットワーク、宗教的実践、ジェンダー関係、その他の追加調査を予定していた項目に関するデータ)を得る。この調査を含め、期間全体を通して得られたデータに基づき、①モンと国家との関係性、②モン・コミュニティ内の平等性とヒエラルキーの動態、③モンのトランスナショナルなネットワークについての分析を行い、これまでに行った「主権」、「平等性とヒエラルキー」、「自由」、「資本主義」に関する理論的検討と合わせて研究全体をまとめる。
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