研究課題/領域番号 |
17K03344
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
公法学
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
中島 宏 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (90507617)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2018年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2017年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | ブルカ禁止 / ブルキニ禁止 / 公序 / 共生 / 信教の自由 / ブルキニ規制 / ニカブ禁止 / イスラム・スカーフ規制 / フランス共和主義 |
研究成果の概要 |
フランスにおいては、ブルカ禁止法の制定を契機として、権利制約原理としての公序概念が抽象化している。ヨーロッパ人権裁判所の判断によると、ブルカやニカブのような宗教的着衣を一般的に禁止するための正当化根拠は、「共生」概念のみである。多様な人々の「共生」のためには、最小限のルールとして顔を見せなければならない。 一方で、伝統的な具体的公序概念に基づいて、宗教的着衣規制が違法と判断された事例もある。海水浴場におけるブルキニ着用には、安全性、衛生性といった具体的要素を侵害する明白なおそれは無いとされ、ブルキニ禁止命令は違法とされた。公序が抽象化すると同時に、具体的公序の意義も再確認されている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、近年フランスにおいて制定されたブルカ禁止法を分析し、権利制限の正当化論理が抽象化しているとの議論を検討した。従来、公共の安全、静穏、公衆衛生という具体的な要素が脅かされた場合にのみ、権利自由に対する制限が認められてきた。しかし、ブルカ禁止法はこのような論理を採らず、人々の「共生」のためには、「顔を見せる」という社会生活上のルールを守らなければならないという理由付けがなされた。本研究は、この新しい考え方がフランスやヨーロッパにおいてどのように承認され、同時に従来の論理がどのように確認され続けているのかを明らかにした。近年の新しい動向に関する分析として、日本にとっても示唆的ではないか。
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