研究課題/領域番号 |
17K03429
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
刑事法学
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
小田 直樹 神戸大学, 法学研究科, 教授 (10194557)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2017年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 可罰性 / 二次規範性 / 制度侵害 / 法益侵害 / 特別背任罪 / 法益侵害説 / 刑法の解釈 / 制度論 / 背任罪 / 担保権侵害 / 刑法の本質 / 社会制度 / 刑法学の方法 / 刑事法 / 刑法の二次規範性 |
研究成果の概要 |
本研究は,法益保護主義の下,(起訴)裁量による処罰限定を支える「軽微性」論に縮減している「可罰性」評価の再構成を企図した。法益侵害説は,犯罪を不法行為と同じ次元で見るため,事実的基礎の理解に傾き過ぎ,「可罰性」を単なる程度判断に変えてしまい,民法が限界とする「公序」に刑法が連動する関係も不明にしてしまう。 「公序」を現実の法制度に求め,私法を社会構築に係わる一次規範とみた上で,「制度」の安定性に係わる規範を読み取るべきである。現実の変化(一次規範レベルの類推的発展)に対応しながら社会を支える二次規範として理解して,社会学との協働の中で,規範確証の要否・可否から「可罰性」を具体化すべきである。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
法解釈論争が法社会学から法政策学に及ぶ幅で展開されたとき,刑法学は,微妙な距離を採ったままで,「秩序維持」という白地手形は捨てて法益侵害説を共有し,機能主義の思考方法で解釈の実質化を図った。その結果,「可罰性」は程度問題とみなされ,「公序」との関係は棚上げされたに等しい。 本研究では,「制度」レベルに社会との接点を確立して,刑法学(可罰性論)を構成し直すことを目指した。社会学・経済学の「制度論」から学び,法秩序の多層的・可変的な構造を描き,周辺科学との協働のあり方を探り,法律学一般や「公序」との関係を再確認した。謙抑主義の下で孤立化しかねない刑法学を,その基底部分から組み直す意味がある。
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