研究課題
基盤研究(C)
本研究の主要結果は、(i)ガバナンス要因の中で、国内企業や個人株主による所有権が増加すると、公益企業会社の非効率性は低下するが、規制や競争などの産業レベルの要因は逆に非効率性を高める。 (ii) 列車密度という組織規模によって、垂直構造というガバナンスの形態が費用に影響を与え、列車密度が小さい(大きい)場合、垂直分離(統合)が最適で、中程度の列車密度では、中間的な組織が最適である。(iii)鉄道企業の垂直統合において、非公式なコミュニケーションが全体の調整に重要であり、これを強化するメカニズムは主にタスクグループや個人のレベルに対して、公式なコミュニケーションでは、主に組織レベルで観察される。
従来の公益事業を改善するための方法として、競争原理の導入、民営化、規制改革などが考えられてきた。これに対し、民間企業で広く議論されているコーポレート・ガバナンスの様々な方法を適用した場合にはどうなるのかという、いわゆるガバナンスの問題はあまり研究されてこなかった。ここでの研究成果は、学術面において新たな新規性を提示しているという貢献がある。さらに、実際面においても、従来の改善方法は産業自体を改革するという点で社会的費用が高くなるのに対して、ガバナンス改革では比較的低コストでしかも企業の状況に応じて改革が可能になるため、社会的意義も大きいことが期待される。
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