研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、非対称的な2国間でのFTAの形成が世界全体の貿易自由化を促進するか理論的に検討することである。主たる結論は以下のとおりである。(1) 各企業がシュッタケルベルク競争を行う場合、2国間FTAや多国間協定の締結の実現可能性はクールノー競争時と比較すると低下する。(2) クールノー競争時と異なり、シュッタケルベルク競争時には、多国間協定が締結不可能な場合において2国間協定の逐次的な締結により世界全体の自由貿易を実現しうる。(3) 2国間FTAの形成は、FTA加盟国の新技術採用を促進する傾向があるが、場合によっては加盟国企業の新技術採用を阻害し、非加盟国企業の新技術採用を促進しうる。
本研究は、急増するFTAの締結が世界全体の貿易自由化を促進するか否かという重要な問題に、市場構造や技術水準といった各国が有する非対称性が及ぼす影響に関する一定の結果を示したものである。こうした点は、今後の各国の通商政策の在り方やWTOの役割を検討するうえで重要であることから、学術的にも社会的にも一定の意義を有するものと考えられる。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
Review of International Economics
巻: 28 号: 1 ページ: 119-137
10.1111/roie.12444
『国際貿易理路の現代的諸問題』(近藤健児・寶多康弘・須賀宣仁編著)
巻: - ページ: 137-150
Discussion Paper Series, Faculty of Economics, Ritsumeikan University
巻: No. 18002 ページ: 1-34
Recent Developments in Normative Trade Theory and Welfare Economics (eds by Tran-Nam, Binh, Tawada, Makoto, Okawa, Masayuki )
巻: Ch.10 ページ: 155-168
10.1007/978-981-10-8615-1_10
巻: 17003 ページ: 1-29