研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は過去の農村調査の再分析もとに農村社会における社会関係の変動を解明することである。『村落構造の史的分析』および『昭和49年全国山林原野入会慣行調査』を分析した結果、集落の産業構造の変化や人口変動といった社会変動が農業労働のありかた、水利の利用のありかた、入会林野の利用・管理のありかたの変化をつうじて、集落内の社会関係を変容させうることが明らかになった。
本研究の研究成果の学術的意義は次の二点である。第一に、間接的な証拠に基づくものの、社会変動が集落内のネットワーク構造を変容させるメカニズムの1つを解明した点である。第二に、研究期間内に完全なネットワークデータは完成しなかったものの、過去の農村調査の記載内容をもとに、岩手県のある農山村の幕末期から大正期にかけてのネットワークデータを再構築した点である。日本では過去に数多くの農村調査が実施されているが、本研究の成果はそれらの調査に対する現代的視点にもとづく再分析の嚆矢となる点で意義深い。
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