研究課題/領域番号 |
17K04177
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会学
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
林 怡蓉 大阪経済大学, 情報社会学部, 教授 (10460990)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2017年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | メディア言論空間 / 量的分析 / 質的分析 / 人々の声 / 社会的コミュニケーション / メディアの規範理論 / 規範理論 / ニュース番組 / 言論空間 / 形式分析 / 分断 / メディアの媒介 / 感情,情動の政治哲学 / 感情,情動の社会学 / メディアにおける感情の表出 / テレビの規範概念の実践 / 多様性/一元性 / 政治理論 / デリベラティヴ・デモクラシー論 / 反省性 / メディア / 放送 / インターネット / ソーシャルメディア / デモクラシー / 社会学 / メディア・コミュニケーション / コミュニケーション / 政治学 |
研究実績の概要 |
1.日本および台湾に関する調査研究実績 昨年度に平時のビデオリサーチ分析に加え,今年度は選挙期間の2021年10月17日-11月7日(衆議院選挙:第49回)と2022年6月19日-7月17日(参議院選挙26回)の間に放送された全報道,情報番組を対象に分析作業に入った.現段階の分析結果から,報道,情報番組の形式的な部分は前回・2018年分の分析結果と大きな相違はみられない.ただし,人々の声は平時の2018年データよりは多くみられた.そして,台湾については前年度同様に基本的なメディアを媒介にした社会的コミュニケーションのパターンに大きな変化はみられなかった.その方法の多様化が加速する傾向にあることが観察できつつも,パーソナル・マスコミュニケーションのパターンの社会的コミュニケーションの流れが支配的にみうけられる. 2.英米を対象にした実証研究,理論研究に関する文献研究 ジャーナリズムにおいて理性,客観性を重んずる規範が強く共有し支配してきたなか,長い間マスメディアでの「感情」表現は否定的に評価されてきた指摘が複数の研究成果で確認した.しかしながら,それはマスメディアで「感情が描かれない」ことを意味せず,むしろ実際では多くのマスメディア・ジャーナリズムは感情を積極的に描写しメタ的に「良い感情」/「悪い感情」を区分し伝えてきた/きている.すなわち,一方では理性,客観性をジャーナリズム規範としつつ,他方では積極的に感情を描き利用者の感情を喚起し,社会道徳規範の構築に機能するともいえる.ただ,ここで問題となるのはその「良い感情」/「悪い感情」の解釈を巡る権力性と思われる.そこに着目し,日台英米の社会的コミュニケーションを媒介するメディアのあり方の違いが,とくに主要な情報を伝達し共有するメディアの社会規範構築機能にどのような差異を生じさせるか,政策提言につながる重要な文献研究成果を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度同様に,日本,台湾,そして理論研究の部分は概ね順調に進んでいる.日本の部分で収集しえた膨大な番組データのデータ化はそもそも多大な時間を要するうえに,学生アルバイトを利用し,作業できる期間と能力にばらつきがあり,ダブルチェックなど確認作業に時間を要し,研究効率がよいとはいえない状況であった.そこで年度の終盤にそうした番組の量的データを提供する会社から協力を得て,費用は発生したものの,学生アルバイトに支払うものよりも効率よく正確で安価である.これにより,本研究の進捗は大幅に改善された.台湾調査については昨年度同様に研究協力者の協力などがあり,リアルタイムの情報を収集できている.理論研究も問題なく進められている. ただ,2022年度は結果的に緊急な水際対策はなかったものの,新型コロナウィルスの流行状況はなかなか改善しなかった.そして,コロナ禍による国際交通網の未回復により航空運賃が高騰し,記録的な円安で海外調査を実施するのが大変難しい状況となった.したがって,英米の実地調査を実証研究,ならびにそれをもとにした理論研究を中心に文献研究を行った.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は所属大学から一年間の台湾長期海外出張の機会をえており,十分な研究時間をえて台湾で日本と台湾を中心に調査研究を継続し,英米については文献を中心に分析を行う形で最終年度の研究計画とする. 日本でのデータおよび文献収集は今年度で終えており,系統的に論文に仕上げる段階に入っている.台湾についてはこれまでの研究で得た知見を踏まえつつ,2023年度に4年に1度の総統選挙(2024年1月)におけるメディアを媒介にした社会的コミュニケーションに変化があるか,とくに政治的議題,社会的議題と社会分断ならびにエスニック間との関連で注意深く観察し,それらのデータを現地で長期収集し,台湾の継続研究を行う.こうした日台の対比研究に加え,英米の最新研究成果に十分に踏まえ,情報知の分断からくる社会分断が激しいと思われるインターネット時代における社会的コミュニケーションに資するメディアの規範理論を構築し,メディアの政策提言をする.
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