研究課題/領域番号 |
17K04310
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会心理学
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研究機関 | 埼玉県立大学 (2021-2022) 東京大学 (2017-2020) |
研究代表者 |
白岩 祐子 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (40749636)
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研究分担者 |
唐沢 かおり 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (50249348)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2019年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2018年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2017年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 遺体損壊 / 司法解剖 / 臓器提供 / 臓器移植法 / 霊魂観念 / 死後世界観 / 心身二元論 / 心身一元論 / 遺体保全 / 解剖 / 臓器移植 / afterlife belief / 死後観 / 遺骨収集 / 病理解剖 / 心の知覚 / 死別 / 死のポジティビティバイアス / 犯罪被害 / オートプシーイメージング / 遺族 / 非人間化 / 死者 / 遺体 |
研究成果の概要 |
解剖や臓器提供などにより大切な人の遺体が損壊されることに対して,多くの日本人が否定的な態度を示す。その実情と規定因を明らかにすることを目的に,文献レビュー,解剖経験者に対する半構造化面接,大学生を対象とする実験,および大切な人との死別経験者を対象とする社会調査などを行った。 その結果,1)故人や遺族の意に反して行われる司法解剖が遺族に強い自責の念と後悔,悲嘆をもたらしており,長期にわたって持続する二次被害の要因となっていること,2)故人の魂が存在し,自分たちの近くで見守り支えているという遺族の心象,すなわち遺族の霊魂観念,死後世界観が遺体保全への熱意と関連していることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
日本では臓器提供者の人口比率が顕著に低く,国外供給や臓器売買などの諸問題が表面化している。臓器移植が日本では受容されにくいことは,臓器移植法の制定過程でくりかえし指摘・議論されてきたが,本研究ははじめて実証的な枠組みからこの問題を検証し,その実相を捉えた。具体的には,解剖や臓器提供による遺体損壊の対象を「自己」「愛する人」「他者」に区別し,このうち「愛する人」に焦点化した上で,遺体損壊への忌避的態度が霊魂観念,すなわち現代日本人が潜在的に保持している死後世界観と関わっていることを明らかにした。こうした民俗的価値観を「非科学的」として切り捨てず,適切に考慮することの重要性を本研究は示している。
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