配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2019年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2018年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2017年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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研究実績の概要 |
本年度は,幼児期の発達の宿命である「個人差」に焦点をあて,問題行動の予防策の立案につなげるために,社会情動的スキルを縦断的に調査し,発達の個人差を考慮した発達促進要因を検討することを目的とした。平成30年度から実施している調査を含めた4時点のデータを用いて,潜在曲線モデルによる分析を行い,社会情動的スキルの発達と感情理解と抑制制御の関連を検討した。 Mplus 8.10を使用し,切片がTime1時点における感情理解と抑制制御及びこれらの交互作用と4時点の社会情動的スキルがどのような関連があるかを検討するために母数の推定を行った。4時点で観測された社会情動的スキルの得点をモデルに投入したところ,満足できるモデルの適合度が得られた(χ2=14.13, df=11, CFI=.984, TLI=.974, RMSEA=.053)。 分析の結果,切片の推定値は,69.35(p<.001, SE=1.38)であった。傾きの推定値は,3.31(p<.001, SE=0.42)であった。ただし,切片と傾きの共分散は有意な値がみられなかったため,社会情動的スキルのT1における得点と,その後のT2,T3,T4の得点の伸びとの関連は示されなかった。次に,T1の個人差を示す切片の分散では,抑制制御にのみ有意な値が得られた(1.25, p<.001, SE=0.34)。変化パターンの個人差を示す傾きの分散では,どの変数においても有意な値は得られなかった。 本研究の結果,T1時点での抑制制御の低さは,T1時点での社会情動的スキルの低さと関連があることが示された。したがって,幼児期には,学年初期の抑制制御の発達を観察する必要がある。今後は,幼児の抑制制御を促進する保育方法について更なる研究が必要である。
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