うつ病に対する反芻焦点化認知行動療法：有効性の検討とうつ病遷延化の解明

• 研究課題/領域番号: 17K04452
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 配分区分: 基金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 臨床心理学
• 研究機関: 慶應義塾大学
• 研究代表者: 中川 敦夫 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任准教授 (30338149)
• 研究期間 (年度): 2017-04-01 – 2020-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2019年度)
• 配分額: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円); 2019年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円); 2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円); 2017年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
• キーワード: 認知行動療法 / うつ病 / 反芻 / 反芻焦点化認知行動療法 / 機能分析 / 心理療法

研究成果の概要

わが国での実施に適した新規認知行動療法プログラムである反芻焦点化認知行動療法(rumination-focused CBT: RFCBT)の実践を目的に、本研究ではRFCBT治療者用ハンドブックを作成し、パイロットケース（5例）としてRFCBTを行い、そのfeasibilityを確認した。さらに、原著者のEdward Watkins教授らのもと、面接音声ファイルを用いたスーパービジョンを受け、この経験を踏まえRFCBT治療者用ハンドブックの改良を図った。そして、うつ病に対するRFBCTの前後比較研究プロトコール(UMIN000037191)を作成し、実施した。

研究成果の学術的意義や社会的意義

うつ病遷延化要因の一つである思考反芻を断ち切ることに焦点をおいた反芻焦点化認知行動療法 (rumination-focused CBT , RFCBT)が英国のEdward Watkins教授により開発された。
本研究は、わが国に適したRFCBTの実施法の確立と有効性の検討を目的に、RFCBT治療者用ハンドブックを開発し、研修指導法を確立した。また、研修指導で抽出された課題をRFCBT治療者用ハンドブックに反映させ、改良を図った。そして、5例のうつ病患者にRFCBTを実践し、その実施可能性を確認した。また、RFBCT前後比較研究プロトコール(UMIN000037191)を作成し、実施した。

研究成果

• [雑誌論文] Neural and Clinical Changes of Cognitive Behavioural Therapy Versus Talking Control in Patients With Major Depression: A Study Protocol for a Randomised Clinical Trial (2020)
  • 著者名/発表者名: Nariko Katayama, Atsuo Nakagawa, Chika Kurata, Yohei Sasaki, Dai Mitsuda, Shigetsugu Nakao, Sayuri Mizuno, Mire Ozawa, Yuko Nakagawa, Natsumi Ishikawa, Satoshi Umeda, Yuri Terasawa, Hajime Tabuchi, Toshiaki Kikuchi, Takayuki Abe, Masaru Mimura
  • 雑誌名: BMJ Open 巻: 10 号: 2 ページ: e029735-e029735
  • DOI: 10.1136/bmjopen-2019-029735
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 海外のSupervisorからSuperviseを受けたケースについて考える 反芻焦点化認知行動療法(rumination-focused CBT)の教育訓練の取り組み (2020)
  • 著者名/発表者名: 中川敦夫
  • 雑誌名: 認知療法研究 = Japanese journal of cognitive therapy 巻: 13(1) ページ: 27-29
• [雑誌論文] 【気分障害UPDATE-難治性うつ病に対しあきらめず取り組む】治療効果の検討 治療抵抗性うつ病に対する認知行動療法 (2020)
  • 著者名/発表者名: 満田大，野上和香，中川敦夫
  • 雑誌名: 医学のあゆみ 巻: 272(5) ページ: 461-465
• [雑誌論文] Frontopolar cortex activation associated with pessimistic future-thinking in adults with major depressive disorder (2019)
  • 著者名/発表者名: Katayama Nariko、Nakagawa Atsuo、Umeda Satoshi、Terasawa Yuri、Kurata Chika、Tabuchi Hajime、Kikuchi Toshiaki、Mimura Masaru
  • 雑誌名: NeuroImage: Clinical 巻: 23 ページ: 101877-101877
  • DOI: 10.1016/j.nicl.2019.101877
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 反芻思考に取り組む : Rumination-Focused CBT (第18回日本認知療法・認知行動療法学会シンポジウム) -- (新世代認知行動療法から見える新しい展望 : ベックの認知療法に何を足すか) (2019)
  • 著者名/発表者名: 加藤典子, 中川敦夫
  • 雑誌名: 認知療法研究 = Japanese journal of cognitive therapy 巻: 12(2) ページ: 69-71
  • NAID: 40022008482
• [雑誌論文] 認知行動療法 過去、現在、未来、その先へ (2019)
  • 著者名/発表者名: 中川敦夫
  • 雑誌名: 精神神経学雑誌 巻: 2019特別号
• [雑誌論文] 反芻思考とうつ病 反芻思考へのアプローチ 反芻焦点化認知行動療法 (2019)
  • 著者名/発表者名: 中川敦夫
  • 雑誌名: 精神神経学雑誌 巻: 2019特別号
• [雑誌論文] インターネットを用いた認知行動療法 (2019)
  • 著者名/発表者名: 中尾重嗣，中川敦夫
  • 雑誌名: 分子精神医学 巻: 19(1) ページ: 34-38
• [雑誌論文] 特集－認知行動療法の進歩：研究と臨床の最前線 特集に寄せて－ (2019)
  • 著者名/発表者名: 中川敦夫
  • 雑誌名: 分子精神医学 巻: 19(1) ページ: 1-1
• [雑誌論文] Web-Based Cognitive Behavioral Therapy Blended With Face-to-Face Sessions for Major Depression: Randomized Controlled Trial (2018)
  • 著者名/発表者名: Nakao Shigetsugu、Nakagawa Atsuo、Oguchi Yoshiyo、Mitsuda Dai、Kato Noriko、Nakagawa Yuko、Tamura Noriko、Kudo Yuka、Abe Takayuki、Hiyama Mitsunori、Iwashita Satoru、Ono Yutaka、Mimura Masaru
  • 雑誌名: Journal of Medical Internet Research 巻: 20 号: 9 ページ: e10743-e10743
  • DOI: 10.2196/10743
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 職場におけるうつ病・自殺の予防－特集 職場のメンタルヘルス 知っておくべき職場と産業保健スタッフの対応－ (2018)
  • 著者名/発表者名: 加藤典子，中川敦夫
  • 雑誌名: 診断と治療 巻: 106(5) ページ: 565-569
  • NAID: 40021573862
• [雑誌論文] うつ病に対する認知行動療法の上乗せ効果－ランダム化比較試験－ (2018)
  • 著者名/発表者名: 中川敦夫
  • 雑誌名: DEPRESSION JOURNAL 巻: 6(1) ページ: 28-29
• [雑誌論文] 認知行動療法の立場から現代の精神医療を考える.－特集 精神科臨床から何を学び、何を継承し、精神医学を改革・改良できたか(Ⅰ)－ (2018)
  • 著者名/発表者名: 大野裕, 中川敦夫, 菊地俊暁
  • 雑誌名: 精神医学 巻: 60(11) ページ: 1271-1279
• [雑誌論文] Effectiveness of Supplementary Cognitive-Behavioral Therapy for Pharmacotherapy-Resistant Depression: A Randomized Controlled Trial. (2017)
  • 著者名/発表者名: Nakagawa A, Mitsuda D, Sado M, Abe T, Fujisawa D, Kikuchi T, Iwashita S, Mimura M, Ono Y.
  • 雑誌名: J Clin Psychiatry. 巻: ー 号: 8 ページ: 1126-1135
  • DOI: 10.4088/jcp.15m10511
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
• [雑誌論文] Temperament, personality, and treatment outcome in major depression: a 6-month preliminary prospective study. (2017)
  • 著者名/発表者名: Kudo Y, Nakagawa A, Wake T, Ishikawa N, Kurata C, Nakahara M, Nojima T, Mimura M.
  • 雑誌名: Neuropsychiatr Dis Treat. 巻: 13 ページ: 17-24
  • DOI: 10.2147/ndt.s123788
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 認知行動療法の現在とこれから-医療現場への普及と質の確保に向けて うつ病の認知療法・認知行動療法の実際 (2017)
  • 著者名/発表者名: 満田 大, 加藤 典子, 中川 敦夫
  • 雑誌名: 精神医学 巻: 59(5) ページ: 419-425
• [雑誌論文] インターネットを用いたスーパービジョンの可能性 (2017)
  • 著者名/発表者名: 中尾 重嗣, 中川 敦夫
  • 雑誌名: 精神療法増刊 巻: 4 ページ: 30-34
• [雑誌論文] 認知行動療法の質を維持するために:CBTセラピストのQuality Controlを考える 厚生労働省研修事業の取り組み (2017)
  • 著者名/発表者名: 中川敦夫
  • 雑誌名: 認知療法研究 巻: 10(2) ページ: 100-103
• [雑誌論文] うつ病に対する認知行動療法 (2017)
  • 著者名/発表者名: 満田 大, 中川 敦夫
  • 雑誌名: 日本臨床 巻: 75(10) ページ: 1542-1547
• [学会発表] Implementing cognitive behavior therapy in Japanese clinical practice: bridging the gap between research and practice. (2019)
  • 著者名/発表者名: Nakagawa A.
  • 学会等名: 9th World Congress of Behavioural and Cognitive Therapies 2019
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] （教育講演）認知行動療法－過去、現在、未来、その先へ－ (2019)
  • 著者名/発表者名: 中川敦夫
  • 学会等名: 第115回日本精神神経学会学術総会
• [学会発表] 反芻思考へのアプローチ：反芻焦点化認知行動療法 (2019)
  • 著者名/発表者名: 中川敦夫
  • 学会等名: 第115回日本精神神経学会学術総会
• [学会発表] うつ病に対する認知行動療法：言葉による治療の効果 (2019)
  • 著者名/発表者名: 中川敦夫
  • 学会等名: 第16回日本うつ病学会総会
• [学会発表] うつ病に対する認知行動療法の治療機序の解明へ：脳機能画像アプローチによる取り組み (2019)
  • 著者名/発表者名: 中川敦夫
  • 学会等名: 第16回日本うつ病学会総会
• [学会発表] うつ病に対する認知行動療法：遠隔技術を用いたセッションとスーパービジョン (2019)
  • 著者名/発表者名: 中川敦夫
  • 学会等名: 第19回日本認知療法・認知行動療法学会
• [学会発表] デジタル時代の認知行動療法：CBT実践法とスーパービジョン (2019)
  • 著者名/発表者名: 中川敦夫
  • 学会等名: 第19回日本認知療法・認知行動療法学会
• [学会発表] うつ病に対する認知行動療法：効果検証と普及 (2019)
  • 著者名/発表者名: 中川敦夫
  • 学会等名: 第19回日本認知療法・認知行動療法学会
• [学会発表] 認知行動療法後の社会機能の改善：E-CAM 研究2 次解析 (2019)
  • 著者名/発表者名: 木村あやの，中川敦夫
  • 学会等名: 第19回日本認知療法・認知行動療法学会
• [学会発表] うつ病に対する認知行動療法における効果発現時期の予測因子の検討－治療中間時点におけるうつ評価尺度からの検討－ (2019)
  • 著者名/発表者名: 満田大，中川敦夫
  • 学会等名: 第19回日本認知療法・認知行動療法学会
• [学会発表] うつ病に対する認知行動療法における否定的認知の改善が長期経過に与える影響 (2019)
  • 著者名/発表者名: 倉田知佳，満田大，片山奈理子，中川敦夫
  • 学会等名: 第19回日本認知療法・認知行動療法学会
• [学会発表] 反芻焦点化認知行動療法（RF-CBT）が有効であった1 症例：回避に注目して (2019)
  • 著者名/発表者名: 加藤健徳，満田大，加藤典子，武智小百合，岩下覚，中川敦夫
  • 学会等名: 第19回日本認知療法・認知行動療法学会
• [学会発表] 臨床における診断や症状評価の新たなる可能性：より精緻な臨床評価を目指して「精神科診断・症状評価を再考する：研究と臨床をつなぐ」 (2018)
  • 著者名/発表者名: 中川敦夫
  • 学会等名: 第114回日本精神神経学会学術総会
• [学会発表] 人工知能時代のインターネット支援型認知行動療法の可能性「外来診療におけるインターネット支援型認知行動療法の活用と今後の展望」 (2018)
  • 著者名/発表者名: 中川敦夫
  • 学会等名: 第114回日本精神神経学会学術総会
• [学会発表] 多様化するうつ病治療－適応、利点、問題点、実現可能性－「うつ病に対する精神療法的アプローチ；その課題と展望」 (2018)
  • 著者名/発表者名: 中川敦夫
  • 学会等名: 第15回日本うつ病学会総会
• [学会発表] 多様なうつ病の治療最適化を目指して：うつ病に対する精神療法的アプローチ「うつ病に対する認知行動療法：エビデンスをつくり、普及へ」 (2018)
  • 著者名/発表者名: 中川敦夫
  • 学会等名: 第15回日本うつ病学会総会
• [学会発表] Evidence based practiceを考える: うつ病治療における臨床実践とエビデンスのあいだ」 (2018)
  • 著者名/発表者名: 中川敦夫
  • 学会等名: 第36回日本森田療法学会
• [学会発表] 自殺未遂者への精神療法的アプローチ「うつ病とsuicidality」 (2018)
  • 著者名/発表者名: 中川敦夫
  • 学会等名: 第42回日本自殺予防学会総会
• [学会発表] うつ病に対する認知行動療法：エビデンスを創り、臨床現場に届ける (2018)
  • 著者名/発表者名: 中川敦夫
  • 学会等名: 第18回日本認知療法・認知行動療法学会
• [学会発表] 反芻焦点化認知行動療法（rumination-focused CBT）の教育研修の取り組み (2018)
  • 著者名/発表者名: 中川敦夫
  • 学会等名: 第18回日本認知療法・認知行動療法学会
• [学会発表] うつ病に対する認知行動療法；対面型CBTとインターネット支援型CBT (2018)
  • 著者名/発表者名: 中川敦夫
  • 学会等名: 第18回日本認知療法・認知行動療法学会
• [学会発表] ランダム比較試験のポイント:ECAM研究を振り返る (2018)
  • 著者名/発表者名: 中川敦夫
  • 学会等名: 第18回日本認知療法・認知行動療法学会
• [学会発表] Neural basis of future thinking in major depression: a fMRI study. (2017)
  • 著者名/発表者名: Katayama N, Nakagawa A, Umeda S, Terasawa Y, Kikuchi T, Tabuchi H, Yamagata B, Mimura M
  • 学会等名: The 23th Annual Meeting of the Organization for Human Brain Mapping
  • 国際学会
• [学会発表] うつ病に対する認知行動療法の上乗せ効果:ランダム化比較試験 (2017)
  • 著者名/発表者名: 中川敦夫
  • 学会等名: 第14回日本うつ病学会総会/第17回日本認知療法・認知行動療法学会
  • 招待講演
• [学会発表] 認知行動療法：サイエンスとアートの新たな融合 (2017)
  • 著者名/発表者名: 中川敦夫
  • 学会等名: 第14回日本うつ病学会総会/第17回日本認知療法・認知行動療法学会
• [図書] 公認心理師カリキュラム準拠 精神疾患とその治療 (2019)
  • 著者名/発表者名: 三村將，幸田るみ子，成本迅，中川敦夫 他
  • 総ページ数: 233
  • 出版者: 医歯薬出版株式会社
  • ISBN: 9784263265857
• [図書] 精神科レジデントマニュアル (2017)
  • 著者名/発表者名: 三村將（編）, 前田貴記，内田裕之, 藤澤大介, 中川敦夫（編著）
  • 総ページ数: 306
  • 出版者: 医学書院
  • ISBN: 4260030191
• [図書] 「はたらく」を支える！女性のメンタルヘルス (2017)
  • 著者名/発表者名: 丸山総一郎（編）, 中川敦夫（分担執筆）
  • 総ページ数: 404
  • 出版者: 南山堂
  • ISBN: 4525181710