研究課題/領域番号 |
17K04466
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
臨床心理学
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
島田 直子 立正大学, 心理学研究所, 客員研究員 (50596111)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2020年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2019年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2017年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 外国にルーツのある子ども / 知能検査 / 心理アセスメント / 認知特性評価 / 外国につながる子ども / 認知能力評価 / アセスメント / 多文化・多言語背景 / 外国につながる子とも / 多文化 / 外国人児童生徒 / 帰国子女 |
研究実績の概要 |
近年グローバル化が進み、異文化の影響を受ける子どもたちの心理・発達面のニーズが報告されている。子どもが抱えるこのような問題に対しては、心理教育的アセスメントを行うことが推奨される。その中で認知特性の評価が必要になる場合があるが、現在日本では、検査の利用方法を含め、多様な文化背景の子どもたちに対する適切なアセスメント方法が確立されていない。 そこで本研究では、米国で文化や言語マイノリティの子どもに広く利用されている非言語性知能検査Universal Nonverbal Intelligence Test-Second Edition:UNIT2, Bracken & McCallum, 2016) の使用を含め、包括的な多文化心理教育アセスメントモデルを開発することを目的とした。 令和4年度は新型コロナウイルスの蔓延により、UNIT2の検査データを収集するための研究活動を行うことが制限された時期があったが、可能な時期に一部調査を再開することが出来た。 文献研究に関しては、本研究のテーマの一部であるC-LIMに関する最新の動向をまとめた資料論文を執筆した。さらに3月に出版された「外国にルーツのある子どものウェルビーイング─児童生徒・教職員・家族を支える心理学」の第10章にて、外国にルーツのある子どものアセスメントの方法と課題について論じた。 1月には心理職などの専門家向けの研修会に講師として参加し本研究の成果を基にした情報発信を行った。また、2月には外国にルーツのある子どもの支援機関を訪問し日本語指導を担当する支援員と意見交換を行った。米国コロラド州で開催された学校心理学会にて多文化多言語背景のある子どものアセスメントに関するワークショップに参加し、情報収集を行うとともに現地の心理士と意見交換を行った。その大会の様子については、日本学校心理学会のニュースレターに寄稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は、コロナの影響を考慮しつつデータ収集のための調査を再開し6件の追加データを収集することができた。また、本研究のテーマの一つであるC-LIM(Culture-language Interpretive Matrix)についての文献研究を進め、C-LIMの限界と活用の可能性について日本語で資料論文を執筆した。この論文には、令和元年度より進めていた米国に開発の背景がある日本の主要な検査(WISC-IV, KABC-Ⅱ, DN-CAS)について、その米国版がどのように米国の多文化アセスメントに利用されているかに着目した文献研究の結果を一部含めた。3月に出版された「外国にルーツのある子どものウェルビーイング─児童生徒・教職員・家族を支える心理学」第10章(遠見書房)にて、外国にルーツのある子どものアセスメントの複雑さの背景、知能検査の限界、チームアセスメントの必要性について論じた。 2月には、米国コロラド州デンバー市で開催された米国学校心理学会で情報取集を行うとともに、多文化アセスメントのワークショップに参加し最新のアセスメント動向について確認することができた。また、3月には、岐阜県可児市の多文化共生センターフレビアに訪問し、日本語指導の状況や学校や保護者との連携について意見交換を行った。 加えて、米国学校心理学会の大会の様子について日本学校心理学会のニュースレターに寄稿し情報発信を行った。1月には東京都八王子教育委員会からの依頼を受け「文化や言語の異なる子どもたちのアセスメントと支援」と題し、心理職などの専門家を対象とした研修会の講師を担当し、本研究の成果発信を行った。 コロナ禍でデータ収集や事例研究を行う機会が制限された点についてはやや遅れているものの、文献研究、学会等での情報取集、成果発信の進捗を考慮すれば、本研究おおむね順調に進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、UNIT2のデータ収集に注力する。データ収集が完了次第、UNIT及びUNIT2の得点の分析を行い、その結果に関する研究論文の執筆を進める。UNIT2の妥当性検証のためWAIS/WISCのデータを追加収集することを検討する。WISCについては、改訂版であるWISC-Vが刊行されているため、改訂版の購入準備を進める。可能な範囲でUNIT2を利用した事例研究についても実施を予定している。 また、これまで進めてきた文献研究をもとに、心理アセスメントを行うために必要な、第二言語習得や文化適応などはじめとする基本的な知識についても資料整理を進めて情報発信を検討する。
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