研究課題/領域番号 |
17K05121
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
量子ビーム科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
榎本 一之 九州大学, 水素材料先端科学研究センター, 特任准教授 (50465978)
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研究分担者 |
廣木 章博 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主幹研究員(定常) (10370462)
前川 康成 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 部長(定常) (30354939)
長谷川 伸 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主幹研究員(定常) (60354940)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2018-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2017年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2017年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 量子ビーム / 高圧水素 / 架橋 / 高分子非晶相 / 結晶性樹脂 |
研究実績の概要 |
水素で走る燃料電池車用高圧水素タンクの材料開発は、ポリエチレンなどの結晶性樹脂を内層材に用い、その外周を炭素繊維強化樹脂で補強した複合化が本命技術と位置づけられている。高圧水素ガスに直接曝露される内層材は、樹脂中の非晶相に侵入した水素が減圧時に体積膨潤することで気泡が形成され、その気泡が起点となり、材料内部にき裂が進展する破壊を発生するリスクがある。そのため、高圧水素を「ためる」役割を担う樹脂製タンクの安全性・長期信頼性が必要不可欠である。本研究では、量子ビーム技術により樹脂中の「水素の通り道」である非晶相にピンポイントで架橋構造や水素結合ネットワークを導入し、水素材料所望のガスバリア性・強靭性の機能が付与できる改質技術を創出することを目的とする。 今年度は、高密度、中密度、分岐状低密度、及び直鎖状低密度のポリエチレンを対象として、1)量子ビーム架橋を基盤戦略としたポリエチレン非晶相の改質とその機械特性と水素特性の検討、2)高圧水素曝露加減圧サイクルによる耐久性試験を行い、樹脂中に発生した気泡や欠陥評価について実施した。Co60-γ線照射による架橋は非晶相及び結晶-非晶界面において付与され、吸収線量の増加につれて非晶相の分子鎖運動性の束縛と機械的強度の増加をもたらした。同時に、圧力90 MPa下における樹脂中の水素量、減圧後の水素拡散及び体積膨潤に伴う気泡形成を架橋密度により制御することに成功した。特に、γ線500 kGy照射により低密度ポリエチレンの非晶相を架橋することで、高圧水素急減圧に伴う気泡形成の抑制効果が未架橋の高密度ポリエチレンに匹敵し、かつ、加減圧サイクルを気泡形成なしに20回くり返すことができた。これらの量子ビーム架橋による高分子非晶相の改質はγ線の照射時間により制御可能であり、目的とする水素材料開発のための基盤技術として大きな成果となった。
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