研究課題/領域番号 |
17K05416
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
望月 真祐 島根大学, 学術研究院理工学系, 准教授 (00362913)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2020年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2019年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2018年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2017年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | ランダム行列 / Janossy密度 / 格子ゲージ理論 / ランダム行列理論 / ディラック固有値分布 / 有限密度 / カイラルランダム行列 / テクニカラー模型 / 有限温度 / カイラル対称性 / アンダーソン局在 / QCD / 準位統計 |
研究実績の概要 |
昨年度に論文"Tracy-Widom method for Janossy densities..."にて発表した, ランダムエルミート行列の順序付き固有値の連結分布を非線形微分方程式系の解として定める一般論を、本年度は具体的な量子カオス系の準位統計に適用することに注力した。Dirichlet L関数の非自明零点は数論的カオス系の代表例として知られており、その最小零点がCないしD型ランダム行列の最小固有値分布に漸近することはSarnak,Rubinsteinらにより示された。私はこの知見を最小零点1/2+i s_1と第2番目の零点1/2+i s_2の連結分布に拡張し、指標のconductorの小さい順に3000種類の自己随伴L関数について(s_1, s_2)の分布を求めた上で、それがC型ランダム行列から上述の手法で導出した最小および第2固有値の連結分布に漸近することを確認した。私はこの研究成果を、研究会「離散的手法による場と時空のダイナミクス 2022」(2022年8月、東京理科大学)にて口頭発表した。実際には指標についての平均は3000サンプルでは不十分であり、現在は指標の生成と零点の数値計算を10^6サンプル程度に増加させる過程にある。これが達成でき次第、本研究についての論文を投稿する予定である。 また別種の適用例として、固有値のサポートが2つに分裂する転移点における準位統計(Pearcey核に対応)にも上述の手法を適用してJanossy密度を導出している。この模型はQCDの有限温度相転移点の模式化になっており、後者に対する知見が得られることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼに研究計画に準拠して、ランダム行列理論側の解析的計算と格子ゲージ模型・量子カオス系側の数値計算との比較・検証を並行して展開しているため.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究期間を通じて私は, 種々の積分核Kに対して上述のような新規な準位統計分布を導出し, それらに対応する物理系および解析数論的対象と比較して検 証することを目的とする. 具体的には: (1) 可積分型積分核への拡張とユニタリー不変性を破る行列模型への適用 (2) 数論的カオスにおける零点の連結分布への適用 (3) 動的クォークを含む有限密度2カラーQCDにおける低エネルギー定数の精密決定 の3主題に取り組む.
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