研究課題
基盤研究(C)
強相関電子系物質は、電子間相互作用と電子格子の相互作用の働きにより、温度、圧力、不純物量の変化に対して多彩な秩序相が現れるが、そのサイズに対する影響は明らかになっていない。本研究では、サイズが20 nm程度の酸化バナジウムV2O3ナノ結晶において、バルクの結果とは対照的に、Tiの高ドーピングによって絶縁体相が出現することを示した。結晶サイズの低下が、電子間相互作用の増大と、巨大な構造歪みを導いたことが、相変化の原因と考えている。
本研究では、酸化バナジウムナノ結晶を用いて、強相関電子系物質における結晶サイズの低下が、その相の安定性を決める重要なファクターである電子間相互作用と結晶構造パラメータに大きな影響を与えることを示した。これによって強相関電子系物質の相制御に結晶サイズが有用となる可能性を示すことができた。さらには、強相関電子系物質を用いた極微デバイスの開発に向けて、そのナノメートルサイズでの相図を示したことに意義があると考えている。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (17件)
Physical Review B
巻: 101 号: 3 ページ: 035415-7
10.1103/physrevb.101.035415