月初期における火成活動史解明に向けたマグマ組成の調査

• 研究課題/領域番号: 17K05633
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 配分区分: 基金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 固体地球惑星物理学
• 研究機関: 東京大学 (2019-2021); 名古屋大学 (2017-2018)
• 研究代表者: 諸田 智克 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (30415898)
• 研究期間 (年度): 2017-04-01 – 2022-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2021年度)
• 配分額: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円); 2019年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円); 2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円); 2017年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
• キーワード: 月 / 海の火成活動 / マグマ組成 / 線状重力異常 / 熱史

研究成果の概要

月初期のマグマ活動については未だに解明されていない．本研究は重力異常データから発見された，太古の時代のマグマ貫入の痕跡と考えられる線状の重力異常(LGA)に着目し，貫入岩路頭の探索とマグマ組成の調査から，月の冥王代とも言える時代の火成活動の復元を目指すものである．
月周回衛星搭載のマルチバンドデータを用いた探索の結果，複数のLGAにおいて玄武岩質のスペクトルを示す領域が発見され，これはLGAがマグマ貫入起源であることを支持する初めての物質化学的証拠と言える．それらの岩石は低チタン玄武岩に分類され，月のマグマオーシャン固化後の特定の深さの層を起源とするマグマである可能性が高い．

研究成果の学術的意義や社会的意義

惑星初期の熱進化の理解は惑星の初期状態を理解する上で重要であるが，太陽系初期における活発な天体衝突によってその記録は不鮮明であった．本研究は月の初期に地殻に貫入したと思われる玄武岩を発見し，そのマグマ組成に制約を与えることに成功した．この成果は月初期のマントル構造とマグマソースの深さを制約するものであり，月の初期状態復元に向けて基礎情報となるものであり，学術的意義が高い．

研究成果

• [国際共同研究] The Johns Hopkins University APL(米国)
• [雑誌論文] Size?frequency measurements of meter-sized craters and boulders in the lunar polar regions for landing-site selections of future lunar polar missions (2022)
  • 著者名/発表者名: Kawashima O.、Morota T.、Ohtake M.、Kasahara S.
  • 雑誌名: Icarus 巻: 378 ページ: 114938-114938
  • DOI: 10.1016/j.icarus.2022.114938
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] Magma eruption ages and fluxes in the Rembrandt and Caloris interior plains on Mercury: Implications for the north-south smooth plains asymmetry (2022)
  • 著者名/発表者名: Hirata Kaori、Morota Tomokatsu、Sugita Seiji、Ernst Carolyn M.、Usui Tomohiro
  • 雑誌名: Icarus 巻: 382 ページ: 115034-115034
  • DOI: 10.1016/j.icarus.2022.115034
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] Global classification of lunar reflectance spectra obtained by Kaguya (SELENE): Implication for hidden basaltic materials (2018)
  • 著者名/発表者名: Hareyama, M., Y. Ishihara, H. Demura, N. Hirata, C. Honda, S. Kamata, Y. Karouji, J. Kimura, T. Morota, H. Nagaoka, R. Nakamura, S. Yamamoto, Y. Yokota, M. Ohtake
  • 雑誌名: Icarus 巻: 321 ページ: 407-425
  • DOI: 10.1016/j.icarus.2018.11.016
  • 査読あり
• [雑誌論文] Initial inflight calibration for Hayabusa2 optical navigation camera (ONC) for science observations of asteroid Ryugu (2018)
  • 著者名/発表者名: Suzuki, H., M. Yamada, K. Kameda, T. Kouyama, E. Tatsumi, R. Honda, H. Sawada, N. Ogawa, T. Morota, C. Honda, N. Sakatani, M. Hayakawa, Y. Yokota, and S. Sugita
  • 雑誌名: Icarus 巻: 300 ページ: 341-359
  • DOI: 10.1016/j.icarus.2017.09.011
  • 査読あり
• [雑誌論文] Lateral heterogeneity of lunar volcanic activity according to volumes of mare basalts in the farside basins (2017)
  • 著者名/発表者名: Taguchi, M., T. Morota, and S. Kato
  • 雑誌名: Journal of Geophysical Research (Planet) 巻: 122 号: 7 ページ: 1505-1521
  • DOI: 10.1002/2016je005246
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] Magma source transition of lunar mare volcanism at 2.3 Ga (2017)
  • 著者名/発表者名: Kato, S., T. Morota, S. Watanabe, Y. Yamaguchi, M. Ohtake, and H. Otake
  • 雑誌名: Meteoritics & Planetary Science 巻: 52 号: 9 ページ: 1899-1915
  • DOI: 10.1111/maps.12896
  • 査読あり / 国際共著
• [学会発表] Comparison of Magma Activities in the Rembrandt and Caloris Interior Smooth Plains on Mercury: 1,2 1 1 3 Implications for the Lateral Heterogeneity in Magma Activity (2022)
  • 著者名/発表者名: K. Hirata, T. Morota, S. Sugita, C. M. Ernst, and T. Usui
  • 学会等名: 53rd Lunar and Planetary Science Conference
  • 国際学会
• [学会発表] METER-SIZED CRATERS AND BOULDERS AROUND LUNAR SOUTH POLE SHACKLETON AND 11211 NORTH POLE WHIPPLE CRATERS (2022)
  • 著者名/発表者名: O. Kawashima, T. Morota, M. Ohtake, and S. Kasahara
  • 学会等名: 53rd Lunar and Planetary Science Conference
  • 国際学会
• [学会発表] 月面上の舌状衝上断層付近におけるボルダー崩れの成因の解明：最大加速度の距離減衰式に基づく震源の推定 (2020)
  • 著者名/発表者名: 池田 あやめ、熊谷 博之、諸田 智克
  • 学会等名: JpGU-AGU Joint Meeting 2020
• [学会発表] 水星のRembrandt盆地とCaloris盆地内のマグマ噴出の量と年代 (2020)
  • 著者名/発表者名: 平田 佳織、諸田 智克、杉田 精司
  • 学会等名: JpGU-AGU Joint Meeting 2020
• [学会発表] アルテミス計画参画に向けた月のプラズマ・ダスト環境に関する検討 (2020)
  • 著者名/発表者名: 臼井 英之、西野 真木、並木 則行、稲富 裕光、大竹 真紀子、諸田 智克、臼井 寛裕
  • 学会等名: JpGU-AGU Joint Meeting 2020
  • 国際学会
• [学会発表] 「日本のアルテミス計画参加に向けた理学的・工学的検討」報告 (2020)
  • 著者名/発表者名: 並木 則行、稲富 裕光、臼井 英之、諸田 智克、西野 真木、大竹 真紀子、臼井 寛裕
  • 学会等名: JpGU-AGU Joint Meeting 2020
• [学会発表] 月の地質進化と縦孔周辺探査２ (2020)
  • 著者名/発表者名: 諸田智克
  • 学会等名: 第64回宇宙科学技術連合講演会
• [学会発表] 月面のクレータ斜面におけるボルダー崩れの成因の検討:舌状衝上断 層での月震と斜面上の少クレータ形成による震動の比較 (2020)
  • 著者名/発表者名: 池田 あやめ、熊谷 博之、諸田 智克
  • 学会等名: 日本惑星科学会2020年秋季講演会
• [学会発表] 月の海のマグマ噴出過程と時間変化 (2019)
  • 著者名/発表者名: 諸田智克
  • 学会等名: 日本地球惑星科学連合2019年大会
• [学会発表] 衝突盆地のリング構造を用いた月初期のマグマ活動の痕跡調 (2019)
  • 著者名/発表者名: 池田あやめ，諸田智克，長岡央
  • 学会等名: 日本地球惑星科学連合2019年大会
• [学会発表] 月の地質進化と縦孔周辺探査 (2019)
  • 著者名/発表者名: 諸田智克
  • 学会等名: 第63回宇宙科学技術連合講演会
• [学会発表] クレータ統計からみた月の進化と衝突史 (2018)
  • 著者名/発表者名: 諸田智克
  • 学会等名: 日本地球惑星科学連合2018年大会
  • 招待講演
• [学会発表] UZUME 計画と月の火成活動研究 (2018)
  • 著者名/発表者名: 諸田智克
  • 学会等名: 第62回宇宙科学技術連合講演会
• [学会発表] CONSTRUCTION OF NEW RESTRICTED GAUSSIAN MODEL TO DERIVE MODAL MINERALOGY AND ELEMENTAL COMPOSITION FROM SPECTRAL DATA (2018)
  • 著者名/発表者名: Shinsuke Kato, Tomokatsu Morota, Yasushi Yamaguchi, Sei-ichiro Watanabe, Hisashi Otake, Makiko Ohtake, Tokuhiro Nimura
  • 学会等名: 49th Lunar and Planetary Science Conference
• [学会発表] NEAR-FAR ASYMMETRY OF MAGMA PRODUCTION OF THE MOON: CONSTRAINTS FROM MARE VOLUMES WITHIN THE FARSIDE IMPACT BASINS (2018)
  • 著者名/発表者名: Taguchi, M., T. Morota, S. Kato
  • 学会等名: 49th Lunar and Planetary Science Conference
• [学会発表] 月のマグマ噴出量から制約される噴出プロセスとマグマ生成量の表／裏二分性 (2017)
  • 著者名/発表者名: 田口雅子, 諸田智克 , 加藤伸祐
  • 学会等名: 日本地球惑星科学連合2017年大会
• [学会発表] 月の後期火成活動の玄武岩組成の特徴 (2017)
  • 著者名/発表者名: 加藤 伸祐、諸田 智克、山口 靖、渡邊 誠一郎、大嶽 久志、大竹 真紀子、二村 徳宏
  • 学会等名: 日本地球惑星科学連合2017年大会
• [学会発表] はやぶさ2 ONCデータによるRyugu表面ラフネスの推定:着陸点選定訓練データを用いた検討 (2017)
  • 著者名/発表者名: 諸田智克，千秋博紀，横田康弘，坂谷尚哉，巽瑛理，杉田精司，本田理恵，本田親寿，山田学，平田成，平田直之，三浦昭，山口智宏，田中智，はやぶさ２光学航法カメラチーム
  • 学会等名: 日本惑星科学会2017年度秋季講演会
• [学会発表] 「かぐや」連続スペクトルデータを用いた月の後期火成活動における玄武岩の鉱物量比の推定 (2017)
  • 著者名/発表者名: 加藤 伸祐、諸田 智克、山口 靖、渡邊 誠一郎、大嶽 久志、大竹 真紀子、二村 徳宏
  • 学会等名: 日本惑星科学会2017年度秋季講演会
• [学会発表] フォボスのクレーター緩和評価と他天体との比較に基づく表層進化過程の検討 (2017)
  • 著者名/発表者名: 森田 晟也, 諸田 智克, 渡邊 誠一郎
  • 学会等名: 日本惑星科学会2017年度秋季講演会
• [図書] 図説地球科学の字典 「9.5 地球の衛星，月」 (2018)
  • 著者名/発表者名: 諸田智克，
  • 総ページ数: 248
  • 出版者: 朝倉書店