研究課題
基盤研究(C)
本研究年度は約45°の大きな分子チルト角を有するキラルスメクチックCA相(アンチクリニックアンチフェロエレクトリック相)の分子設計を重点的に行い、その中でも二量体液晶性化合物の開発を行った。二量体分子はキラル性を発現させるため不斉炭素を導入する必要があり、本年度の分子設計では、メトキシー基とメチル基の2種類のキラル基を導入した。さらに、分子両末端の柔軟鎖には様々な長さを有する分子設計を行った。それらの二量体液晶分子が示す液晶相転移挙動を眺めるとメチル基をキラル分岐として有する系においては、末端鎖16、一方のメトキシー基をキラル分岐として有する系においては14、16、18、22の末端鎖を有する分子系において目的とするキラルスメクチック相の発現を確認した。これらのキラルスメクチック相においては、さらに反強誘電性およびアンチクリニック層構造を有する必要があるため、電場印加測定を行い、反転電流測定法から反強誘電性を確認することに成功した。また偏光顕微鏡を用いた電気光学測定の結果、アンチクリニック層構造を有することをも確認することに成功した。これらのキラルスメクチックC相は、目的とする光学的等方性を示す必要があるため、その複屈折性を偏光顕微鏡観察を通して評価を行った。現段階では、観察するガラス界面においての配向の乱れも十分に予測され、最終的分子設計の指針を得るためには、完璧な光学等方性までではなく、ある程度の光学等方性に近い、性質を有することを期待しながら評価を行った。その結果、メトキシーをキラル分岐と有する系において末端鎖18と22の系が最も光学的等方相に近い性質を示すことが得られた。
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Liquid Crystals
巻: 45 号: 6 ページ: 924-930
10.1080/02678292.2018.1435830