研究課題
基盤研究(C)
前年度に引き続き、α”-Fe16N2粉体からα-Fe/γ'-Fe4Nナノ複合体を合成する基本的なプロセスを確立することを試みている。前年度の結果から、原料として用いていたα”-Fe16N2粉体が大気中で酸化してしまうことが判明しており、今年度はα”-Fe16N2粉体をできる限り大気にさらすことなく、熱処理をおこない、α-Fe/γ'-Fe4Nナノ複合体を形成させる方法として、反応性ガス雰囲気下でのXRDその場測定をおこなう反応系の構築を試みた。反応は、高温環境下で粉末と様々なガスを反応させることができる電気炉にておこなった。電気炉にはX線を透過する窓がついており、RD装置と併せて使用することにより、生成した物質の構造をXRD測定により評価することができる。具体的には、(a) 水素ガス還元により酸化鉄粉体から金属鉄粉体を合成し、(b)得られた金属鉄粉体をNH3ガスで窒化することにより、α”-Fe16N2粉体を合成する。そして、(c)得られたα”-Fe16N2粉体をN2ガス雰囲気下で熱処理することにより、α-Fe/γ'-Fe4Nナノ複合体を合成する事を目指す。本法では試料粉体を大気中に取り出すことなくα-Fe/γ'-Fe4Nナノ複合体を得ることができるので、高品質な試料が合成できることが期待できる。始めに(a) 水素ガス還元により酸化鉄粉体から金属鉄粉体を合成するプロセスについて検討した。還元温度やH2ガス流量等を制御することにより、あまり焼結していない状態の金属鉄粉体を得ることに成功した。