研究課題/領域番号 |
17K06679
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
建築環境・設備
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
三上 功生 日本大学, 生産工学部, 准教授 (80434124)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2020年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2019年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2018年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2017年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 頸髄損傷者 / 体温調節障害 / 人工気候室実験 / 至適温湿度範囲 / 至適温度範囲 / 中間期 / 相対湿度50% / 相対湿度70% / 標準着衣量0.6clo / 25±1℃ / 温熱生理心理反応 / 脊髄損傷 / 頸髄損傷 / 環境人間工学 / 温熱環境 / 空気調和設備 / 血管収縮障害 / 血管拡張障害 / 人工気候室 / 相対湿度(RH) / 交感神経遮断 / 非震え熱産生 / 人間生活環境 / 医療・福祉 / 建築環境・設備 |
研究実績の概要 |
交通事故やスポーツ事故、労働災害などにより中枢神経である脊髄を損傷した脊髄損傷者の多くは、主として交感神経機能の不全のために、受傷部以下の発汗、血管運動、熱産生などの自律性体温調節機能が麻痺している。特に頸部の脊髄を損傷した頸髄損傷者(以下頸損者)は、その麻痺がほぼ全身に及んでいるため、深部体温が環境温度の影響を受けて変動しやすいことが報告されている。頸損者の極めて重篤な体温調節障害は、リハビリテーションプログラムの進行や社会進出を阻害する要因の一つになっていることから、頸損者の温熱環境の計画及び評価方法を策定する必要があり、その中でも特に季節別の室内至適温湿度範囲を喫緊に推定する必要がある。 2019年度までに明らかになったこととして、研究室に蓄積されていた過去の人工気候室実験のデータに新たに行った実験データを加え、それらを基にして、頸損者の中間期、且つ相対湿度50%での至適温度範囲について検討した結果、25±1℃と推定するに至った。 2022年度は、相対湿度70%の環境下で人工気候室実験を行い、頸損者の中間期、且つ相対湿度70%での至適温度範囲について検討を行った。その結果、25±1℃と推定された。従って、相対湿度50%と70%の至適温度範囲は共に25±1℃と推定されたことから、頸損者の至適温度範囲は相対湿度の違いの影響を受けない可能性があり、今後詳細な検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度に行った人工気候室実験で得られたデータより、頸損者の中間期、且つ相対湿度70%での至適温度範囲について検討を行った結果、25±1℃と推定された。 2019年度までに行った人工気候室実験のデータより、頸損者の中間期、且つ相対湿度50%での至適温度範囲が25±1℃と推定されていることから、頸損者の至適温度範囲は相対湿度の違いの影響を受けない可能性があることがわかった。現時点における頸損者の中間期の至適温湿度範囲は、25±1℃、相対湿度50~70%と推定する。2023年度は中間期、且つ低相対湿度での至適温湿度範囲について検討を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は人工気候室実験より、頸損者の中間期、且つ低相対湿度(40%)での至適温度範囲について検討を行う予定である。具体的な方法は、人工気候室内で9名の頸損者を下記の温湿度に曝露し、体温、皮膚温、血圧、脈拍、体重減少量などの測定結果より中間期、且つ相対湿度40%での至適温度範囲について検討を行う。 曝露条件:室温22℃相対湿度40%、室温24℃相対湿度40%、室温26℃相対湿度40% 曝露時間:1環境条件あたり90分間 着衣量:0.6clo(春と秋の季節に対応する中間期の衣服の断熱性能に相当) 2023年度の結果と、2022年度までの検討結果を総合することで、頸損者の中間期の至適温湿度範囲を推定することができる。2024年度以降に頸損者の夏期及び冬期の至適温湿度範囲を推定することで、頸損者の季節毎の至適温湿度範囲を空気線図上に示すことができる。 それらは、ほぼ全身の温冷感が麻痺している当事者とその介護者にとって室内温湿度を調節する際の目安となり、また空調技術者にとっても頸損者が使用する可能性がある公共施設の空調設備を設計する際の参考資料として利用できる。研究成果は、頸損者のQOL向上に繋がるものと考える。
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