研究課題
基盤研究(C)
Mg系水素化物はその高い質量および体積水素密度と低い材料コストから水素エネルギー関連材料として魅力が高い。しかし、それらの多くは常温・常圧付近において熱力学的に安定であることから水素の放出が困難である。本研究では、立方晶系構造をもつMg2FeH6とMg2Siから成るMg2FexSi1-x水素化物の合成を試みた。Si-rich組成側(x < 0.5)において、ナノメートルサイズのMg2FeH6がMg2Si中に埋め込まれた構造をもち、それによってMg2FeH6がひずみ、熱力学的安定性を低下できることが明らかになった。この結果は軽量で低材料コストの水素貯蔵材料の実現に貢献できるものと考えられる。
本研究では、再生可能エネルギー起源のエネルギーシステム高効率化を目指して、高水素貯蔵密度かつ低コストのMgを水素貯蔵材料として利用すべく水素化物合成研究を実施した。Mgの主課題は水素化物の不安定化を図り、水素吸蔵放出反応温度を低下させることである。高い水素貯蔵量および低い原料金属コストを実現するため、Mg, FeおよびSiから成る新たな水素化物の合成に成功し、各種構造解析により特殊なナノメートル構造が水素とMgの反応温度低下に結びつくことが実験的に示された。本研究により、水素エネルギーの広い社会普及に向けた低コスト水素貯蔵材料の開発指針が得られたものと期待できる。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Inorganic Chemistry
巻: 59 号: 5 ページ: 2758-2764
10.1021/acs.inorgchem.9b03117
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