研究課題
基盤研究(C)
オリゴデンドロサイト(OLG)前駆細胞を取り出す手順については概ね確立したが、有意差のあるmiRNAの発現の比較が困難であった。そこで計画を変更し初代培養や細胞株を用いて、SIRT1ならびにSIRT2をノックダウンすると前駆細胞からの分化が明らかに促進することがわかった。SIRTファミリーによって変化するOLG特異的な細胞骨格タンパク質βIV-tubulinとTubulin polymerization promoting protein (TPPP)の発現がSIRT1とSIRT2のノックダウンにより発現が上昇した。SIRT1にはSIRT2とほぼ同等の成熟OLGへの分化抑制効果が見られた。
MSは本邦でも罹患率が上昇の一途をたどる神経難病の一つである。これまでのMS研究は免疫細胞による炎症性中枢神経障害の機序を解明するものがほとんどであり、現在のところ副腎皮質ホルモンや疾患調整薬などで炎症反応を抑制し臨床的再発を減少させても脳萎縮や認知機能を含めた長期的な機能予後の悪化を制御することは困難であることが次第に明らかにされている。本研究はMSの発症機序において免疫異常・炎症とは独立したOLGの一次的変性過程によって障害される何らかの分子メカニズムが存在すると仮定し、そのメカニズムにmiRNAが関与していると考えることが発端になっており、以下の特色と意義があると考えられる。
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