研究課題/領域番号 |
17K07173
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
腫瘍生物学
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
高橋 英嗣 佐賀大学, 理工学部, 教授 (30206792)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2019年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2017年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | がん / 血行性遠隔転移 / 酸素濃度勾配 / pH勾配 / 細胞遊走 / 方向性遊走 / イメージング / 遠隔転移 / 微小流体素子 / シミュレーション / がん微小環境 / MDA-MB-231 / マイクロフルイディクス / がん転移 / 低酸素微小環境 |
研究成果の概要 |
がん細胞(MDA-MB-231)の遊走に方向性を付与する代謝性因子(cue)の存在をin vitroで検討した。まず、培養ディッシュ内に腫瘍組織で報告されている程度のpHおよびO2勾配を形成できる微小流体デバイス(GCG)を新規考案した。次に、GCG直下の細胞の遊走を24時間にわたって観察し、これらが高pH/O2方向に遊走すること(方向性遊走)を示した。細胞外pH勾配を消失させると方向性遊走は消失した。方向性遊走の強さは培地の平均pHに依存した。一方で、細胞外O2勾配は方向性遊走のcueとはならなかった。最後に、細胞外のマクロな空間的pH勾配が方向性遊走をもたらすモデルを提案した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
がんは日本人の死因の第1位を占めるが、その90%は原発がんではなく、転移したがんによるものであることから、がん転移のコントロールは極めて重要である。われわれは、がん生物学の観点から、血行性遠隔転移の最初のステップ、すなわちがん細胞が局所組織内を浸潤し腫瘍内微小血管に到達するプロセスで、固形がん組織に特有な極めて急峻な組織内代謝物質濃度勾配、とりわけpH勾配が、がん細胞遊走の方向を決め、がん細胞を血管に誘導する因子である可能性をin vitroで示した。この結果は、薬物等により組織内pHを制御することで血行性遠隔転移の確率を低下させ得る可能性を示すものである。
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