研究課題
基盤研究(C)
がん細胞は悪性化の過程において様々なダメージがミトコンドリアに加わる。そのため、がん細胞の生存・増殖のためには、ミトコンドリアの品質を維持・管理する分子機構が必須である。本研究では、がんの悪性化に伴い発現が上昇する転写因子E2F3aの新たなアイソフォームである「E2F3d」を同定した。E2F3dはミトコンドリア外膜に局在し、オートファゴソーム隔離膜と会合できることから、新たなマイトファジー受容体であると考えられた。また、E2F3dがマイトファジーを誘導したり、細胞内の活性酸素量を制御することから、E2F3dが「がん細胞におけるミトコンドリアの品質管理」に関与していることが明らかとなった。
本研究では新たなマイトファジー受容体である「E2F3d」を同定した。これまで同定されていたマイトファジー受容体は主に「分化の過程」においてミトコンドリアの品質管理を行っており、E2F3dは「がん細胞の悪性化」においてミトコンドリアの品質管理を行う最初のマイトファジー受容体と考えられる。E2F3aは細胞の増殖を促進する転写因子であることから、これまで「がん」の診断や治療の標的分子として扱われてきた。E2F3aの新たなアイソフォームであるE2F3dが「悪性がん細胞」のミトコンドリアの品質を維持することから、E2F3ファミリーを標的としたがん治療法の開発の有用性が強く示唆された。
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